視点 オピニオン21
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夢現じゅく塾長・主任児童委員 
大井田 文雄さん
(下仁田町下仁田)

【略歴】大阪薬科大学卒。薬剤師。10年間、大手薬品メーカーに勤め、労働組合の委員長などを経験した。家業の薬局を継ぐため97年に帰郷。99年に提案型地域づくり団体、夢現じゅくを結成した。

つくり出すこと



◎真摯、不屈の精神で

 疑問がなければ問題は存在しません。不満がなければ改善はありません。待っているだけでは問題は解決しません。声に出さなければ賛同は得られません。そして、行動しなければ前進はありません。誰でも忙しいと言えます。責任のない評論家には誰でもなれます。結果に対しては誰でもコメントできます。何かをつくり出すことには苦しみがあります。けれど、生み出した後の気持ちは充実感でいっぱいのはずです。

 私の周りには何かをつくり出そうとしている若者、やる気のある若者、よいアイデアを持っている若者がたくさんいます。しかし、彼らのその気持ちやアイデアが職場やその他の場所で使われなかったら、これは大きな損失です。彼らの多くは、意見を聞いてもらえなかったり、否定的な見方をされたり、それが繰り返されることによって、だんだん言わなくなったり、やる気がなくなって、言われたことだけをやっていればよいと思うようになったりするようです。

 物事を考えるとき、最悪の事態に備えて対応する方法を考えることは必要だと思いますが、これと物事を否定的に考えることは全くの別問題です。否定的に考える人は、協調を乱すことにもつながりますし、周りの士気にも影響します。少なくとも否定的にとらえずに、肯定から入るようにしてほしいと思います。特に上に立つ人は、下の人の意見をよく聞く必要がありますし、そのための環境をつくる責任があるのではないでしょうか。市町村合併の議論が進んでいる今の時期だからこそ、誰の意見でも聞く土壌や年齢、性別、職種にとらわれない自由な発想と議論のできる環境が必要になっていると思います。

 「生きがい」なんて言葉は恥ずかしいのですが、人は自分のため、家族のため、愛する人のため、生きています。生きていく上ではお金は必要です。しかし、生きるためには人とのつながりが必要です。他人や社会と何かでつながっていること、その自覚、その喜びを「生きがい」と呼んだ人がいます。会社でも、職場でも、サークルでも、クラブでも何でもいい。それらを通して知り合った人、一緒に行動をした仲間は財産です。そのつながりを大切に、共通の目的や目標があるならば、それらに向かって一緒に努力していただきたい。その時に頑張ってください、なんてお願いだから言わないでください。頑張りましょう、と思ってほしい。そして、どんな状況においても今のままでよいと思わない向上心を持ってほしい。

 何にしても結果を早急に求めてはいけないのかもしれません。自分の信じる道を地道に、しかし着実に進んでいくこと、そして人のために役立っていると思えること、これが大切なのではないかと思います。真摯(しんし)にして不屈、私の高校時代の恩師が卒業の時に送ってくれた言葉です。卒業して二十年が経過しますが、その言葉の意味がやっとわかりかけた年になったような気がします。皆さん、感謝の気持ちを忘れずに真摯にして不屈の精神で頑張りましょう。

(上毛新聞 2002年9月7日掲載)