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エフエム太郎常務放送局長 岩田 博之さん(太田市西本町)

【略歴】太田市生まれ。関東短大卒。1959年、同市職員となり、企画、都市開発部長などを歴任。99年6月からエフエム太郎常務放送局長。2001年11月にはブロードバンドシティ太田社長、日本コミュニティ放送協会理事も務める。

コミュニティー放送


◎地域密着の情報提供

 情報化社会が話題となり、何年がたつでしょうか。人と人との意思の疎通を図るコミュニケーションの手段は、IT化の進展により日進月歩を遂げています。しかし、いかに文明の機器が進歩しても、情報が私たちの周囲にはんらんし、本当に必要な情報を、早く、安く、正確に入手することは難しいことと思います。

 コミュニティー放送は、このような要望にこたえるため、平成四年一月にFM放送として制度化され、十二月には第一号の局として「FMいるか(函館市)」が放送を開始しました。現在、全国で百五十八局になり、東日本では栃木県を除く全県に、群馬県ではラジオ高崎、FMOZE、エフエム太郎の三局です。

 コミュニティー放送のエリアは、一つの市町村の一部区域とされています。出力は、発足当初は一ワット、その後平成七年に十ワット、十二年からは二十ワットと徐々に規制が緩和されましたが、まだ放送エリアは狭く、経営等の関係からどこの局でも人手もお金も余り掛けられず、少人数で運営している状況です。従って、情報をどう効率よく集められるか、大きな課題になっています。取材や番組制作に人員が割けず支援クラブやボランティアを活用している局も多く、エフエム太郎では社員八人、契約パーソナリティー十六人、ボランティア六十人余りのスタッフで番組制作、放送にあたっています。

 FM放送というと音楽のイメージが強いのですが、放送の内容は地域に密着した情報を住民に提供することを基本に、行政、イベント、交通、タウン情報、天気予報、ニュース、地域住民の参加番組、地震、風水害等の災害時の情報等、多岐にわたっています。リスナーの年齢層は若者からお年寄りまでと幅広く、しかも放送局が自治体単位で認可されていることから、情報の宝庫である市町村をはじめ国や県の出先機関、文化団体等と広く連携を深めることが必要です。

 さらに、放送エリア内の市町村に限定せず、それを越えて発信することも大切な役割で、エフエム太郎では、有線放送等を利用して生活圏が共有する桐生市、足利市等へも文化情報、イベント情報等を放送しています。「両毛にいらっしゃい」等の番組はその一例です。さらに、将来の市町村合併を考えますと、放送エリアの拡大が必要です。

 災害放送も大きな使命の一つであり、全国二局目に開設された「FMハナコ(守口市:エフエム太郎と姉妹局)」では阪神淡路大地震のとき、一日中災害関連情報を発信し続けた実績を持っています。災害放送では、個々具体的に場所や状況等を繰り返し放送ができ、マスメディアの流す情報のほとんどがマクロ的ですので、この弱点を補うこともできます。このため二十四時間放送を行っています。

 コミュニティー放送は、地域の基幹メディアとしての役割はまだまだ途上です。立地条件、出資者や開局の主たる目標等が異なりますので、それぞれの局が地域の特色を発揮することにより、多様化するメディアの中で生きぬくことができ、しかも経営基盤の安定にもつながり、地域の情報受発信の拠点として発展していくものと期待しています。

(上毛新聞 2002年11月19日掲載)