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奥利根高原連合そばの会会長 金井 敬司さん(沼田市下久屋町)

【略歴】利根農林高卒。元沼田市教育委員長(2期)。NTTユーザ協会長。沼田法人会副会長。利根沼田地区の7つのそば組合などが連合会を結成、6月から会長を務める。

群馬のそば


◎名産化へもっと努力を

 今新たな食文化が話題とされる中で、そば食が街に村にメディアを通じて異常なブームになっている。古代アジアの仏教の道から渡来し、非常食的なものから、江戸時代に入りそば切りとして定着、以来日本食として歴史と伝統を誇るそばの実情に触れてみたい。

 日を増すごとにそば族が増える中、ソバ実の国内生産は需要の二割程度。転作土地再利用で栽培が増えつつあるが、八割台が実・粉で、中国産が大半。他の数カ国からの輸入も多い。原料単価は、国内産に比べ半額以下。品質鮮度では劣る。肝心なことは、そば固有の特質を知ることが味の改善、うまいそば風味につながることを知ることだ。

 そば食の基本が四たて、三たてであることは当然のことながら、そばは「粉」がすべてであることに触れてみたい。元来、そば粉ほどデリケートで、変質劣化の早い雑穀の粉は他に類を見ないとされている。熱に弱く、乾湿に敏感。従って玄(皮)ソバでの低温保存と皮取り製粉後、空気に触れ、風味・ねばりの頂点は半日くらい。高温時では、二、三日で味・ねばりが半減してしまう粉である。このため、低温製粉の石臼挽(いしうすび)きが理想であり、自家製粉すれば、量産された粉の半額で入手できる。この貴重な事実を三年余の各地の行脚から知るに至った。

 粉を毎日自家製粉するのは当たり前である。購入市販粉では、高速製粉による熱で香りを失い、製粉後に相当の時間を経過するため風化し、そば打ちには適さない。そば加工品も何十種とあり、これには問題はないとされる。

 現実に挽きたて粉は、水のみで割り粉やつなぎなしでつながる鮮度があり、時間を経た劣化した粉は割り粉やつなぎを相当混ぜなければつながらない。当然、本来の香りと味はない。挽きたて低温粉、それは石臼挽きが理想であるが、数十万円以上では営業店も、数多いそば道場グループも求めにくい。近年、輸入硬石セラミックス電動臼が、従来の三分の一以下で購入でき、私も個人で使って好評を得ている。

 街に村に観光地に、そば店の新規開店が目立つ。在来店に比べ粉に忠実で、その結果味で勝っている。全国に三万店ともいわれ、東京で三千余店、群馬では千店に満たない。近県に比べ少ないが、観光客は群馬のそばと野菜・果物を期待している。現実に、もっと名産化に向けての努力をすべきだろう。

 過日、栃木の今市で日本そば博覧会に出席した。セラミックス石臼の挽きたて粉が大変な関心を呼んだ。四日間で実に七万人の入場者があり、会場内では一日千四百食を売る店もあり、会期中に六万食が売れ、そばブームを反映した圧巻のイベントであった。過日、わが沼田が生んだ『おうま』などの童謡作詩家、林柳波生誕百十年で、コーラスグループ野ばら会が歌った『蕎麦(そば)の花』が注目されたこともブームの反映でもあった。

(上毛新聞 2002年12月12日掲載)