視点 オピニオン21
 ■raijinトップ ■上毛新聞ニュース 
前橋市市長公室交通政策課課長補佐 鈴木 和明さん(前橋市勝沢町)

【略歴】前橋商高卒。1971年、前橋市に入職。同年、水道局総務課に配属され、90年に前橋市都市整備振興公社へ出向。95年から交通対策課などを経て99年から現職。

ワークショップ



◎市民参加のまちづくり

 「人と自然が共生する環境文化都市」を将来都市像とする第五次前橋市総合計画では、リーディングプランの一つとして「市民参加まちづくりプラン」を掲げ、市民本位による自主的、自立的なまちづくりを推進するため政策形成過程での市民参加を促進しています。

 このことから、鉄道、路線バスなどの公共交通の活性化策や自家用車等との連携、さらに前橋市が導入すべきコミュニティーバスの効率的な運営と利用促進を図ることを目的とする都市交通ワークショップが、多くの市民参加のもとに開催されました。

 「ワークショップ」とは、もともと「仕事場、工作室」という意味があり、転じて具体的な事例を詳細に検討する会議や、体験的に技術を習得する研修会などの意味にも使われています。

 平成十二年度の都市交通ワークショップでは、コミュニティーバスの導入に関心を寄せる市民十八人と行政の担当者、さらに進行役となる前橋工科大学、国立群馬高専の教授や助教授の皆さんが、(1)前橋市におけるコミュニティーバスの役割と位置づけ(2)コミュニティーバス導入にあたっての考え方(主な利用対象者、運行経路、運行頻度、運賃、車両等)(3)コミュニティーバスが前橋市に根付くためのPRや利用促進策などの検討―のほか、調査活動、提案の作成等の協働作業を三つのグループに分かれて実施し、それぞれのグループごとに報告書としてまとめ、発表会を経て前橋市に提案されました。

 ワークショップではテーマごとに参加者からさまざまな意見が出され、その意見一つ一つが議論されていきます。例えば、既存の路線バスとの共存という課題に対しては、「市内を走行する路線バスの半数以上は補助を受けずに自主運行しているため、バス事業者の経営を圧迫しないよう路線の競合は避け、既存の路線バスを補完することで運行すべきである」という結論が導き出されております。

 市では、各グループからの提案をコミュニティーバス導入に関する目的・利用対象者・車両・運賃などを基本コンセプトとして整理し、二週間の運行実験や歩行者天国となっている銀座通りでの歩行者安全対策通行実験などを行い、多くの関係者や関係機関等のご理解をいただき、平成十四年六月七日から運行を開始することができました。

 また導入した車両の愛称は八百二件の応募の中から三点、デザインは三百四十二件の応募の中から五点を選び、最終的には市民投票により決定しております。

 このように、前橋市のコミュニティーバス「マイバス」は、多くの市民の皆さんの参加による、市民本位のコミュニティーバスとなっているのです。

 ワークショップの参加者から、「マイバスの提案者の一人として、これからもマイバスを見守り、育てていくとともに、市民や来街者の皆さんが利用するようPR活動にも協力していきたい」というお話をいただいておりますが、この言葉が印象に残っています。

(上毛新聞 2003年2月9日掲載)