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奥利根高原連合そばの会会長 金井 敬司さん(沼田市下久屋町)

【略歴】利根農林高卒。元沼田市教育委員長(2期)。NTTユーザ協会長。沼田法人会副会長。利根沼田地区の7つのそば組合などが連合会を結成、昨年6月から会長を務める。

スローフード



◎豊富な食材生かし活動

 ファストフードがもてはやされる中、スローフードに静かなブームが起きつつある。今から十数年前、北欧、イタリアに誕生して今や世界に拡大、日本でも協会ができ、昨秋には群馬版の事務局が発会した。その食談会に私たち、発会して日の浅い奧利根高原連合そばの会が招かれ、そば食をベースに数々の素朴な土地の食材を工夫したスローフードを提供して好評を得た。既に本紙にわが会の発足から最近の活動の様子を紹介していただいているが、まず定時総会を経て今までの活動経過と新たな内容を記してみたい。

 観光と高原を生かした農業の地の県北で、「そば食」の見直しとそばを土地の目玉にしようと、地域の各グループを結集しての連合組織のスタートであった。基本はそば食だが、恵まれた地場の豊富な食材の活用も大きな目的で、農業者、営業食堂、食材業者、それに加えて同好グループの地域内の集合体であるから、アイデアとその活動には恵まれている。

 会では、各支部地を巡回するそば祭り青空イベントを年二回開催、動員数は千数百人を数える。また素人そば打ち体験と食談会も月に二会場で開催、日を追うごとに盛況だ。会員も地区外の県内から都心部にも及ぶ勢いで、広く趣旨に賛同してくれる会員を新規に募って拡大していきたい。その上に、食材別テーマを決めた月一回ほどの創作と試食会も加わり、活動は幅広くなりつつある。インドの先生を招いてのそば食講習も国際交流の上で注目された。

 また、先に会員の交流を兼ねた先進地視察で、そばの里、会津を訪れ、併せて栃木県今市市で昨秋十一月に開催された日本そば博覧会に参加、新たな体験を経て大変な勉強になった。この先の活動に拍車をかけ、今秋の会場、北海道幌加内にも会として参加する準備も検討している。近く関係団体にも働きかけて、日本そば博覧会の誘致活動に向けその基金積み立てに入る計画。

 奉仕活動も数多く考える中で、各地区の観光協会、商工会等との連携の動きも始まっている。山村、市街地との人の交流を大きな目的とする趣旨が生かされなければならない。

 大きな目的である地域経済の活性化と土地産食の再構築はもちろん、スローフードの理解と消費拡大に向け、前進を続けるわが会の責務は大きい。恵まれた諸資源を生かすことを基本に外部からの誘客、入り込み客の大幅な増加を目指し、目的に向かって力強い動きを展開したい。与えられた責務も夢も実現に向けては厳しい局面もあろうが、着実に実行していくことが肝心である。日の浅い会の動きと、スローフードの役割に読者各位の批評、助言がいただければ幸いだ。

(上毛新聞 2003年2月27日掲載)