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おおた八木節だんべえ踊り協会会長 飯塚 敏正さん(太田市新井町)

【略歴】東京農大卒。JA太田市勤務。仲間とともに太田市オリジナルの「おおた八木節だんべえ踊り協会」を設立。日系ブラジル人親子を支援する九合NPOヴェルジの会の代表も務める。

おおた夏まつり



◎多文化共生を考える

 七月十九、二十日と太田市南一番街大通りで、市制施行五十五周年を記念した「だんべえおおた夏まつり」が盛大に催されました。

 このまつりは、地域の小中学生による演奏や八木節、獅子舞などの伝統芸能と市内の高校生によるライブなど参加型でもあります。

 もちろんメーンイベントは「八木節だんべえパレード」で、十チーム二百七十六人が参加。二十日の午後六時から行われ、六歳の子供から七十?歳の熟女まで幅広い層でにぎわいを見せました。

 特に、パレード曲を「おおた芸術学校ウィンドオーケストラ」が創作し、パレードのオープニングとフィナーレを一時間以上にわたり生演奏して観衆と踊り手を魅了しました。

 アンコールも長く、オーケストラによる八木節の新鮮さと演奏する高校生たちのパワーに会場もいやが上にも盛り上り、最高潮のうちにパレードが終了できました。

 この感動を来年につなげることが予感できるフィナーレとなりました。

 さて、このまつりで通りをながめていると、暴走族風の一団は毎年のことですが、ガングロ系はあまり姿を見せませんでした。

 そんな中、ブラジル人やインド人などさまざまな民族の人々が見られ、その上フィリピン人の屋台もあり、ここまで国際化の波が押し寄せているのかとビックリしました。

 この風景を見ていて、六月一日に太田市で開催されたシンポジウムを思い出しました。

 これは、「多民族文化社会における子どもの教育に関する」もので、厚生労働省の研究班、大阪大学大学院、群馬大学が主催して全国からの参加者もあり、太田市長、教育長も出席して開催されました。

 最初に群馬大学の結城恵助教授から「多文化共生研究プロジェクト」の報告がありました。このプロジェクトは群馬県と群馬大学との共同事業で、太田市、大泉町、伊勢崎市を対象としたものです。

 特に大泉町を中心に、外国人児童生徒を対象とした教育・健康調査などが実施され、自治体との連携の深まりや次年度への活動課題が明らかになりました。

 次に、大阪大学大学院の根岸親さんから太田市におけるポルトガル語による実験授業などについての発表がありました。

 この授業からポルトガル語での理解とともに、個別対応や保護者への進路等の情報提供が重要であることが指摘されました。

 また、太田市では全校にバイリンガル体制のもと日本語と算数に特化した習熟度別カリキュラムを早期に実施することも報告されました。

 そして、清水市長からこれらの問題の解決には「特区の中で、ポルトガル語学校をつくることが一番」との発言に一同心から拍手。

 最後に、多文化共生のキーワードはお互いの母語を尊重して、互いの文化を共有することではないかとまつりを通して考えました。

(上毛新聞 2003年8月7日掲載)