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NPO法人さくらメイツ専務理事 赤石 光政さん(境町東)

【略歴】前橋商高卒。個人経営だった家業の葬儀店を会社組織に替え、1994年から代表取締役社長。2000年にさくらメイツ設立。

少年犯罪の抑止



◎ふれあいがある町に

 昔にはこんな事はなかったと、話をするのは年をとった証拠と言いますが、最近の少年の犯罪には目を覆いたくなります。それにはいろいろな要因がありますが、その一つに、ある少年犯罪の担当官が、刑が軽いため抑止力が低下していると指摘していました。なぜなら、犯罪の大きさに対し刑は軽いという知識を持った上で、犯行におよぶというのです。捕まってもこの程度の刑であると、承知をしているというのですから、本当に大変な時代になりました。罰があるから悪いことをしないというのも寂しい話ですが、実際に被害に遭われた方々のことを思うと、何としても犯罪が起こらないようにする、ということが最優先であることは間違いないことです。

 犯罪に見合う罰というのも確かに抑止、ということでは効果があることかもしれませんが、昔はある意味、子供は、監視されていた社会だったような気がします。「○○ちゃん、どこへ行くの」と隣近所のおばさんが声をかけたり、遅くまで遊んでいると知らない人からでも「僕はどこの家の子だい」と気楽に声がかかります。「○○です」と答えると「ああ、○○さんの家の子かい。お母さんが心配するからもうお帰り」と帰宅を促されます。このように子供は隣近所、町単位で見守られ、そのことを無意識の内に感じていたのではないでしょうか、また、どの町内でもガキ大将がいて、その大将を中心に規則があり、秩序がありました。それを犯した者はそれなりの罰が待っているのです。今は昔と違い物が豊かになり、ご近所の助け合いも必要なくなり、他人のことには干渉せず、干渉されず、家族単位での生活を楽しむという傾向です。また、子供にも「知らない人と話をしてはいけません」と、他人との交流を避けるしつけをします。

 刑罰の重さにも確かに抑止力はありますが、それと同時に子供を社会全体で見守るような環境づくりと、町の人たちとの交流から子供自身が社会の一員であるという自覚が芽生えるような、ふれあいが必要なことだと思います。

 本当に今問われているのは家庭のあり方と地域のあり方で、犯罪の生まれやすい環境を私たち自身がつくり出してしまったのではないでしょうか。

 NPO法人さくらメイツでの私たちの活動は商店街の活性化を一つの目標としておりますが、商店街の衰退は、大型店出店のためだけに原因があるわけではないのです。町での人と人とのふれあいがなくなり、それと同じように懇意・ひいきのお店といった人間くさいつながりが弱くなったのも一つの原因です。販売価格のみが優先されれば、当然大型店には太刀打ちできません。昔の話をするのは年をとった証拠といいますが、せめて町は昔のように人情味ある町でありたいと、ふれあい活動を、あせらず、楽しく続けていきます。

(上毛新聞 2003年9月18日掲載)