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コムネットQ代表 大橋 慶人さん(前橋市千代田町)

【略歴】前橋高、東京経済大経営学部卒。家業の鈴木ストアに入社し、2000年から社長。前橋中心市街地まちづくりネットワーク(コムネットQ)代表のほか、1999年には前橋青年会議所理事長を務めた。

ゴミ・バスターズ



◎行動する若者たち

 先月、前橋まつりが開催された。おみこし、山車、だんべえ踊り、鼓笛パレード、その他盛りだくさんのイベントで前橋の中心市街地がにぎわった。大勢の人出がある時困ることは、ごみのポイ捨て・放置の問題である。普段家庭ではきちんとごみを分別処理する人も、お祭りになると空き缶や食品トレーの捨て場に困り、道端に捨てていってしまう人も多い。小さな子供の手を引きながら、子供の目の前でのポイ捨ては教育上も非常によろしくない。

 昨年の前橋まつりから、このごみの問題を市民の力によって解決していこうというプロジェクトが発足し、私自身も参加している。「ゴミ・バスターズ」とは、中心市街地のまつりのエリア内八カ所に可燃、不燃、空き缶、ペットボトル、瓶、飲み残し飲料と六つに分別した回収ボックスを備えたエコ・ステーションを設け、資源リサイクルを呼びかけながら、街をきれいにしていこうという活動である。

 今回の「ゴミ・バスターズ」にも土曜、日曜合わせて延べ百人を超える市民がボランティア・スタッフとして参加した。とりわけ大きな力を発揮したのが高校生や大学生の若者たちだ。前回の七夕のゴミ・バスターズに参加した高校生が、「また一緒にやらせてください!」と新たに友達を連れてきてくれた。吉岡町に住む二人の高校生は、二日間とも朝から自転車で駆けつけ、一日中ステーションの運営や巡回回収業務に汗を流してくれた。女子高生たちは学校を超え、ボランティアを実践するサークルとして大勢参加した。中には、新聞報道を見て当日参加を申し出てくれた大学生もいた。

 また、祭りを見に来て広場でおしゃべりをしていた十七―十八歳の若者たちに声を掛けられた。「何してるんすか?」「みんなごみ捨ててっちゃうから、ボランティアで街をきれいにしてるんだよ。君たちもちょっと手伝ってくれる!」「何したらいいんすか?」「じゃー、広場のごみを少し拾ってくれる?」「いいっすよー!」。サングラスをかけた茶髪の子たちが短時間ではあるが一緒にやってくれた。

 今、青少年の犯罪の増加と低年齢化が大きな社会問題となっているが、一方で「何か社会に役立つことがしたい!」と考え、行動してくれる若者たちが大勢いることを実感として知った。問題なのはわれわれ大人が若者たちに「一緒に汗をかいてやろうよ!」と声を掛けているかどうかだと思う。大きな社会変化の中で、われわれ大人が問題解決のために立ち上がっているだろうか? そしてその姿を若者たちに見せているだろか? 私自身の日常の言動を含めて大いに気になった。これからは「今どきの若者は…」と言う前に若者たちに呼びかけ、一緒に手をつなぎながら、楽しんで街づくりをやっていきたいと思う。

(上毛新聞 2003年11月11日掲載)