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粕川フラワーロードの会代表 高橋 美律子さん(伊勢崎市日乃出町)

【略歴】大妻女子短大卒。五色温泉「三楽旅館」2代目。県自治ネットワーク伊勢崎地区メンバー。県女性国外交流団第21期生。伊勢崎21市民会議委員。2002年に粕川フラワーロードの会を設立。

県立高校再編に思う



◎情報量少なく戸惑う

 平成十三年三月に策定された「新ぐんま教育プラン」の実現に向け、群馬の高校教育全体の活性化を目指したさまざまな高校教育改革が、いま県内で行われています。

 中でも平成十四年度には「高校教育改革基本方針」に基づき、高校の統合、別学校の共学化、特色ある学科・コースの設置等、県立高校の再編整備が新しく施策に取り組まれました。平成十七年四月から刷新改革をした新しい高校が四つ生まれ、すでに校名募集も行われました。

 そして四つの高校が新しく生まれる陰には、六つの高校の幕が下ろされようとしています。しかし地域の人々の関心は低く、受験を控えた子どもたちと保護者、進路指導の先生方は改革についての情報量が少ないので戸惑いを抱えているのが実情です。

 県教委によりますと、この教育改革は少子化と財政難が第一の理由であるということで、全体で一クラスを減らすことが目的だそうです。そんな中、今の中学生はちょうど端境期に高校受験を迎えるわけで、中三の息子を持つ私としては最後の卒業生になるやもしれない焦りを覚え不安です。

 思えば昔、伊勢崎市では公立の保育所と幼稚園の統廃合問題がありました。息子は小学校低学年時の作文にこう書いています。「ぼくが四年間遊んだ第七保育所が壊されて空き地になった。滑り台もブランコも砂場も大きな木もすっかりなくなってとてもさみしい。それなのに今度は次にぼくの出た殖蓮第二幼稚園までなくなっていく」

 それは子どもだけでなく親にとっても残念な出来事でした。保育所や幼稚園は若い親にとって実にありがたい子育て支援センターであり、学校は社会参加の始まりの思い出の場所です。ですから多くの人々のさまざまな思い出が  よみがえ蘇る大切な母校には、いつまでも変わらずそこにあっていてほしいものです。

 さて少子化の波の中、各高校が生き残っていくためには県民や地域の人々から愛され親しまれる魅力ある高校にならなくてはなりません。伊勢崎女子高は単位制進学高校に、伊勢崎東高は国際科と文理総合科の進学高校に、太田西女高は定時制通信制のフレックススクールに、藤岡高と藤岡女子高は統合して数理科学科と文理総合科の進学高校になり、それぞれ男女共学となって校名が変わります。

 また興陽高は総合学科を新設し、境高は伊勢崎東高と統合ということで来春入学する一年生が卒業するのを待って実質廃校になります。有名大学進学、男女共同参画、高校中退者のフォロー、国際化、生涯学習等のさまざまな社会実情を踏まえた特色ある独自の改革案のもとに各学校で準備が進められきっと魅力ある学校になると期待できます。

 ただ地域の歴史遺産や文化を保存しようとする昨今、長い時代を生きている学校という素晴らしい歴史財産をいとも簡単に統廃合してしまうことに寂しさと疑問を感じます。私もメンバーである県自治ネット伊勢崎では十三日午後二時から、県総合教育センターで県立高校再編の講演会を開催します。聞いて、知って、納得して受験に臨んでほしいと思います。

(上毛新聞 2003年12月10日掲載)