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群馬司法書士会企画部長 岡住 貞宏さん(安中市古屋)

【略歴】高崎高、慶応義塾大卒。1994年に司法書士登録。群馬青年司法書士協議会幹事長、群馬司法書士会理事。司法書士会では、4月に民事訴訟代理権を取得した活動のPRや、ヤミ金融問題にも尽力する。

ヤミ金融



◎恐れずに法的手続きを

 ヤミ金融(ヤミ金)とは、短期・少額の貸し付けで年利換算数百―千%以上もの超高金利を取る違法な貸金業者をいう。最近はニュース等でもしばしば取り上げられ、その危険性が徐々に知られるようになってきた。しかし、いまだ情報が不十分であるためか、被害に遭う人が後を絶たない。以下は、ヤミ金被害に遭わないために、ぜひとも知っておいてほしい三項目である。

 (1)登録業者にもヤミ金は多数いる

 貸金業を営むためには、一定の登録が法律上業務付けられている。つい先日、ある新聞(全国紙)の記事に「無登録で貸金業を行なう、いわゆるヤミ金」という記述があったが、このような誤解をしている人は多い。ヤミ金は無登録の業者とは限らず、実はむしろ登録業者の方が多いくらいなのである。

 違法業者でも容易に登録できる現在の制度は、はなはだ問題であるが、ここでは触れない。ただ、消費者の側としては、「登録業者だからといって安心できない」ということを肝に銘じておくべきだ。

 (2)ダイレクトメール(DM)・社名にだまされるな

 ヤミ金が消費者に送りつけてくるDMは、華やかな多色刷りで、見事な出来栄えのものである。DMだけ見たら、大手消費者金融のものかと思ってしまう。しかし、どんなにきれいなDMであっても、それを送っているのがまともな業者であるとは限らない。ヤミ金は初めからDMの内容を守るつもりなどなく、従って、どんな甘言でも記載できる。利率も返済例も、「五百万円まで即日融資」も、みな嘘うそだ。とにかく、知らない業者からのDMには一切、手を出さないのが賢明である。

 また、例えば「○○銀行」という大手銀行がある場合に「○○クレジット」と名乗るように、実際には無関係な有名企業の名をかたって消費者を信用させ、違法な貸し付けを行なう業者もいる。社名を安易に信用するのも厳禁である。

 (3)ヤミ金が直接取り立てに来ることはほとんどない

 ヤミ金の取り立ては電話によって行なわれる。本人に対してだけでなく、勤務先、親せき、はては近所の人にまで電話をかけまくり、脅迫的に返済を迫る。「返さなければ、直接取り立てに出向くぞ!」と脅すのだが、実際に取り立てに来た例は多くない。特に、最も数が多い東京都所在のヤミ金の場合、本県にまで来る例はまれである。ヤミ金の脅しを必要以上に恐れないことだ。ヤミ金は、それが違法業者であると気付いた時点で、恐れず、直ちに法的手続きを取ってほしい。「取り立てに来られてはかなわない」と、さらに別のヤミ金から借金して返済するなど、愚の骨頂である。

 しかし、数は少ないものの、地元系のヤミ金等では実際に取り立てに来る例もある。ヤミ金の暴利行為は刑事的にも違法であり、刑罰の対象だ。だから、実際に取り立てに来た場合、躊ちゅうちょ躇せず一一〇番通報すべきである。

(上毛新聞 2004年1月12日掲載)