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藍天企業 井野 敦子さん(高崎市旭町)

【略歴】農大二高、東京国際大卒。高崎商工会議所女性経営者情報分科会長。県IT活用やる気塾幹事、WW21コアメンバー、中国茶文化協会認定中国茶アドバイザー。中国茶インストラクター講座受講中。

群馬のおいしい水



◎常に節水を心掛けよう

 中国茶のインストラクターをしていると、必ずといってよいほどセミナーで水に関する質問を受けます。これは昨今、飲料水をわざわざ買うという欧米並みの食習慣が日本に入り込んで来たのと同時に、日本人の食生活へのこだわりと関心の高さもあります。それと、残念なことに日本の飲料水への不安感が増してきていることの表れとも危き惧ぐしております。

 幸い群馬は、有数のダム保有県であり、水に関しては恵まれています。が、群馬の水のおいしさが一般にあまり知れわたっていないのは、残念に思います。今まで数多くの国の水を使い、中国茶をいれる機会を得てきましたが、やはり個人的には、その茶葉の生産地で飲用可能な湧ゆう水でいれるお茶が一番おいしいと思っております。

 しかし、わざわざ現地の水を入手できるわけはありません。そこで諸関係機関の方々のご協力も頂き、昨年一年間かけて県内各地の主だった水道水や湧水を集め、中国茶をいれて飲み比べし、その結果を研究リポートとして日本中国茶文化協会に提出をしました。

 県内では箱島の湧水が日本の名水百選に選ばれているほか、赤城の御神水や桐生、中之条などが有名で、県外から汲くみに来られている方も含め、列になっている湧水場も結構ありました。

 湧水は、何十年もかけて土中を通り、自然ろ過の力を借りて有機物をたくさん含み、独特の甘さを含んでいる所に大きな魅力があります。しかし、残念ながら自然界には人体に有害な野生動物のし尿などもあります。

 このため、衛生面から考えると、十一月以降から冬場の水温が一八度以下の時期に汲んだ水を一度沸騰させてからお使いになることを、各関係者の方々は推進しておられました。湧水を汲みに来られた方で、お米をとぐのに使っていらっしゃる方がいましたが、そういう場合も一度沸騰させてから冷ました水を用いるとよい、とアドバイスを頂きました。

 水道水に関して話しますと、例えば前橋は地下水を使っているが、高崎は山の湧水や県央(前橋)の水を供給されています。高崎の水道水は、おもしろいことに浄水場が五カ所に分かれているので、同じ市内でも地域によって違う飲み水を飲んでいることも教えてもらいました。その中でも特に若田浄水場のろ過システムは、昔からの「緩かん速そくろ過方式」という自然のろ過方式を基にゆっくりとろ過をする方式を用いており、日本でも一番おいしく安全な水道水として書物にも取り上げられているほどです。

 先に述べたリポートの結果は、中国茶の種類によっておいしくいれられる水と、そうでない水に分かれたのですが、これは科学的な数値を取らずに人の感覚によって行ったものです。だが、いずれも県内の水道水や湧水は軟水なのであまり大きな差はありませんでした。それよりも水道をひねると直接口にできる水があるという、世界でも希少な恵まれた国であることに感謝し、夏場の水不足時以外でも節水するよう心掛けたいものであります。

(上毛新聞 2004年2月18日掲載)