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大泉国際交流協会事務局長 坂井 孝次さん(邑楽町中野)

【略歴】新潟県三条工業高卒。大泉町の大手家電会社に40年間勤務。国の家電製品協会アセスメント委員長として、容器包装リサイクル法、廃家電リサイクル法の法制化に寄与。著書に『包装技術ハンドブック』(共著)など。

友達は「名医」



◎人生笑って暮らしたい

 病院で若い看護婦さんに血圧を測ってもらった。どうも生来の気の小ささから、今もって測られるたびごとに血圧が上がるような気がしている。その時も一五三の高血圧で、「このままでは生命保険に加入できません」と言われた。「深呼吸をしてください。少し下がりますから」と言われ、一四八ぐらいの数値で医者から診断書を書いてもらい、保険に加入できた。

 今から二十五年前の話だが、それ以来、毎日薬は二錠ずつ服用してきた。それでも体調不良で、病院で測ってもらったら二〇四のときもあり、正直「やばい」と思ったこともあった。おまけに結石の持病があり、三―五年に一度は医師の世話になってきた。

 長生きしそうにない者が生き延び、規則正しい生活習慣と健康的な食生活をし、しかも定期健康診断を欠かさなかった妻が、がんで余命一年くらいと聞かされたときは正直、医者を疑った。

 今、情報公開が進み、医師の過失責任が報道される機会が多くなったが、そのたびごとに思い出し、複雑な気持ちになる。

 しかし、最近の体調はすこぶる快調である。朝食に生野菜、乳酸菌飲料、ヨーグルトとビタミン剤、それにコップ一杯のリンゴ酢を飲んでいるからかもしれない。また、「水道水から塩素を取り除くと、食べ物もおいしいし健康にも良い」と聞かされ、最近、器具も取り付けた。

 われながら過剰とも思えるような健康食品に頼った生活をしているが、生活パターンだけは若いときとあまり変わらない。今でも四人集まれば、月に一度くらいは遊びに熱中し、朝日が昇るころ家に帰る生活をしている。死ぬまでは「健康でいたい」「人生を楽しみたい」と、わがままを通している。

 血圧の薬は医者に相談もせず、勝手に二カ月くらい前から一錠に減らしている。

 快調の理由を「一週間に一度は、腹を抱えるほど笑っているから」と自分自身に言い聞かせている。日常生活で、自然と笑いが出るような友達に恵まれた幸せを、素直に喜んでいる。三人の友達とも、人に誇れる優れたものを持っていながら意にも介していなし、それさえ気が付いていない。ただ、共通して一つ足りない点があるのも特徴のようだ。「類は類を持って集まる」と言われるから、私も同類? と思うが…。

 笑いによって健康になったと思い込んでいる今、私にとって、これらの友達は「名医」なのである。多くの人は、手術などの技術力が高く、病気を治してくれる医者を想像されるかも知れないが、病気を治す医者も「名医」、病気にさせない人も「名医」と考えるのはどうだろうか? 有名大学を卒業する必要もない。医師の国家試験に合格する必要もない。もしかして、私たちのすぐ近くにいるのかもしれないし、私たちも名医になって人の役に立てるかもしれない。

 ある講演会で「長生きしようと思ったら、葬式以外は笑って暮らせ!」と言われた。歌に「どうせ一度はあの世とやらへ、おちて流れて行く身じゃないか…」というのがある。短いかもしれない人生を、これからも笑って暮らしたいと思っている。

(上毛新聞 2004年2月20日掲載)