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赤城村建設課長 星野 敬太郎さん(赤城村上三原田)

【略歴】勢多農高卒。赤城村役場に入り、教委社会教育係長、同課長などを歴任。現在は建設課長。上三原田の歌舞伎舞台操作伝承委員会の事務局として活躍。「赤城凧の会」の中心メンバーの一人。

地域のイベント



◎子供たちと触れ合いを

 ある学校の親子凧(たこ)づくり教室に参加したときのことです。凧づくりの道具をポケットに、会場の体育館に入ったとき、子供から「こんにちは」と声をかけられました。「こんにちは」「こんにちは」と、次から次へと声をかけられ、一日が始まりました。初めて出会った子供たちとの最初の会話「こんにちは」。この一言が大変うれしく、「始め良ければすべて良し」ではないですが、気を引き締め、頑張ろうとの思いになりました。

 最初に、学校の先生、保護者代表の方、凧づくり指導者の方それぞれのあいさつで感心したのは、「子供に多くの体験を」「子供の笑顔を見たいから」など子供たちを主役としたお話でした。

 午前中の凧づくりでは、元教員の方の指導により親子で会話をしながら一生懸命、のりを付け、竹ひごを張って糸で縛ります。手先の器用、不器用は別として、親子で四苦八苦しながら作業している姿は、本当に素晴らしい光景でした。お昼には、お母さんたちがカレーや豚汁を振る舞ってくださいました。準備から後片付けまで大変だったと思います。手間暇かけて作ったカレーを子供たちが楽しく、おいしく食べる姿があるから、できることだと思います。

 午後には、田んぼでの凧揚げ大会です。自分で作った凧を空高く揚げるのは大変で、四苦八苦しながら凧揚げを楽しみました。凧が空高く揚がり、百メートル近く糸が伸びています。凧を引く糸の感触、さらに、自分の作った凧が大空高く揚がっている様子を見上げる子供たちの顔。何とも言い難い、素晴らしい顔をしています。子供の横で凧を見上げたり、子供の顔を見ながら心配そうなお父さんやお母さん。心配そうでも、わが子を見つめる顔は満足そうでした。子育ての楽しさを実感したと思います。

 子供の周りに家族のほか、学校、地域の関係者が集まり、一丸となって楽しい時を過ごした凧づくり教室は、最高の思い出になったと思います。子供はあらゆるものに興味を示すとともに、素晴らしい記憶力を持っています。多くの経験をさせることで、体験を吸収しながら目標を見つけることができると思います。多くの大人の方が子供たちに目を向け、かかわるという意識を持ちたいものです。お父さん、お母さんだけでなく、地域も、学校も一丸となり、子育てを楽しんでみたらいかがでしょう。素晴らしい出会いがあると思います。

 少子高齢化、経済不況下の時代、大人はとかく周りが気になり、批判的な気持ちになりがちです。机上の空論でなく、子供がかかわっている地域のイベントなどに参加し、子供たちとの触れ合いを持ってみたらいかがでしょう。子供の笑顔に接することで安らぎを覚え、寛大な気持ちになり、楽しい人生を送ることができると思います。これからも素晴らしい凧の会員とともに、子供との触れ合いを大切にし、人生を楽しんでいきたいと思います。

(上毛新聞 2004年3月25日掲載)