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高橋農園社長 高橋 喜久男さん(宮城村市之関)

【略歴】1983年、会社を辞め農業を開始。チンゲンサイの周年栽培を確立し、96年に有限会社化した。2000年に出荷調整施設を新築し、効率的な作業を実現。1社で宮城村をチンゲンサイの産地にした。

全国農業コンクール



◎出場者から学んだ情熱

 寒い冬が去り、本格的な春の到来である。草木の息吹が感じられ、花々が咲き乱れる。まさに農業の季節となった。

 人間、あの寒い冬があるが故に、暖かさを感じるのではないだろうか。われわれ農業人は真冬、寒風の中で農作業を行う。一日が終わると家に帰り、暖かい風呂に入って暖かいコタツでくつろぐ。まさに天国だ。歌の文句ではないが「苦あるから楽がある」。あの寒さを経験したから、暖かさが得られる。また、これからやって来る暑い夏も同様だろう。私にとって農業は、想像以上の職業といえる。就農当時、「3K」とも「5K」とも言われた。現在では「新3K(可能性、価値、感動)」とも言われる農業を振り返ってみると、二十年が経過していた。

 昨年七月、茨城県つくば市のつくば国際会議場で「全国農業コンクール全国大会」があり、予選を通過した全国二十人の代表が農業経営の改善に向けた実践や提案を発表、農業の近代化に向けた先進的な取り組みを紹介した。

 この大会は五十二回という歴史を持つ。創意と熱意で可能性を切り開いている農家や農業関係の団体が実績と将来性を競う大会で、本県は七年ぶりにノミネートされた。この大会に出場できたことは大変光栄で、県や宮城村の職員をはじめ、村議会議員、農業委員、JA前橋など多数の方々のお世話になった。大会は二日間にわたり、北は北海道から南は沖縄の農業者二十人が関係者千三百人が集まる会場で発表し、十人に名誉賞(農林水産大臣賞)が授与された。その中の一人に私も選ばれたことは、皆さま方のご協力のたまものだと思います。

 大会で発表した秋田県の斉藤さんは、観光農園「ハーブワールドAKITA」を営んでいる。地場の野菜を使用するレストランを経営する一方で、冬季は県産の秋田こまちを使用したきりたんぽ、リンゴジュースの加工販売を手掛けている。一次(農林水産)産業にとどまっていた農業を二次(加工製造業)や三次(流通サービス)産業と結び付ける「六次産業化」を持論として頑張っていた。

 また、沖永良部島(鹿児島県)の川村さんは、十ヘクタールの耕地でジャガイモを年間二百三十トン生産する同県内でもトップクラスの農家。農作業の省力化のため、植え付け機を改良するなど機械化を進めている。さらに、土を深く耕して太陽光で消毒する方法で連作障害を軽減し、米ぬかを使った減農薬農業に取り組んでいた。

 茨城県の霜田さんは国産ハーブの先駆者で、稲作に代わる農業を模索していた二十一歳のとき、旅行先のフランスでハーブと出合った。その後、中国野菜を栽培する傍らハーブの試作を続け、一九八三年からハーブ専業農家となった。現在では鹿児島県の与論島にも協力農場を持ち、百種類を栽培。毎年、海外へ赴いて最新の動向に目を向ける一方、残留農薬の減少にも取り組み、安全な食材生産に情熱を注いでいる。

 他の人たちも同様に素晴らしい農業経営をしていることを、この大会で学び得ることができた。出場した農業者すべてが、プロ中のプロと言っても過言ではない。私たち農業人は、このような方々を目標またはライバルとし、常に創意と熱意で頑張っていきたいと思っている。

(上毛新聞 2004年4月19日掲載)