視点 オピニオン21
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主婦 大谷 幸枝さん(新里村鶴ケ谷)

【略歴】群馬大学芸学部卒。県内の小中学校で38年間、教職に就く。退職後、食品の安全性への問題や環境ホルモンの影響などについて、生活協同組合(コープぐんま)を中心に広報活動を行っている。

進む環境汚染



◎消費者としての自覚を

 前回、日本の食料や木材等の大量輸入により、開発途上国の森林が激減していることを書きましたが、別の視点から見ると、輸入によって日本の環境汚染が拡大していることが分かります。

 まず、安価で手軽な食物や家畜飼料の輸入継続によって、日本の土地や地下水は窒素化合物汚染が深刻化し、人間をはじめ家畜等の健康が脅かされるようになりました。現在は昔のように、排せつ物を肥料として田畑にリサイクルすることをほとんどせず、主に化学肥料を使っているため、家畜の排せつ物は一部の土地に多量に蓄積され、有害な硝酸性窒素が増加するからです。

 次に、毎日使い捨てられている大量の紙類も、焼却場で処分し切れず、産廃場に埋められています。一部は再生紙等になりますが、大量の水と漂白剤を使うため、環境に良いとは言えません。お金がかかるからと、不法投棄も後を絶たず、住民や自治体に迷惑をかける始末です。

 便利な化学肥料も農薬も、気軽に使い続けているプラスチック製品や洗剤等も、みな輸入品から作られています。リサイクルしにくく、環境ホルモン等に変わって土や水に染み込み、人間や他の生物に悪影響を与えているのです。

 安くて便利な輸入品の大量消費が、その処理のために莫大(ばくだい)な税金を使い、その後始末を困難にさせ、自然のバランスを壊し、人々の健康をおびやかす結果になっているのです。

 日本の食料自給率は、先進国では最低です。安いからと、大切な食料を諸外国に依存し続けています。最近のニュースで、輸出国の不作で大豆が不足し、値上がりしそうだと聞いたばかりです。今後、異常気象や輸出国の水不足、人口増加等で、日本の食料確保は難しくなっていくと思います。

 生産コストが高いということで安い輸入品に押され、日本の田畑や森林はかなり放置されてきました。この荒れた田畑に肥料をリサイクルして、大豆や小麦等の食料を全国的に生産できたら、どんなに安心かわかりません。農水省も、肥料のリサイクル化に乗り出しています。環境庁もやっと、環境ホルモン千物質を免疫や神経機能への影響を中心に来年から検査することになり、うれしく思いました。

 安全な環境とは、自然が作り出していくリサイクルを乱さないことです。農林水産業の人々が浪費の果てに失ったものの重大さに気付き、そのやり方を見直す動きが盛んになっています。有機農法減農薬栽培や資源活用の木、竹の炭作りなど、さまざまな活動がなされています。生き物のすむ里山や清流の再生に多くの人々が取り組んでいるのは、自然の大切さがよく分かっておられるからです。

 これからは、安さ、便利さを追わず、安心して暮らしていける社会にするため、一人ひとりが自覚して無駄やごみを極力減らしていくしかない時代にきていると思います。消費者が変われば、環境も変わっていくと信じたいものです。

(上毛新聞 2004年6月25日掲載)