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コムネットQ代表 大橋 慶人さん(前橋市千代田町)

【略歴】前橋高、東京経済大経営学部卒。家業の鈴木ストアに入社し、2000年から社長。前橋中心市街地まちづくりネットワーク(コムネットQ)代表のほか、1999年には前橋青年会議所理事長を務めた。

緑の空間づくり



◎空き地生かして創造を

 前橋の中心商店街の中に、中央通りアーケードと前橋テルサを結ぶ「グリーンウォーク」と名付けられた木道風の小径がある。約五十メートルの短い遊歩道だが、名前の通り緑があふれ、「ホッと、一息つける」安らぎの空間になっている。

 春から秋にかけて、クレマティス、ベゴニア、ラベンダー、西洋シャクナゲ、キョウチクトウなどが次々に花を咲かせ、ミント、ローズマリー、ワイルドストロベリーやラムズイヤーなどのハーブたちが成長を競う。夏に入った今は、ラズベリーやブラックベリーがかれんな深紅の実を結び、人の背丈ほどもあるアーティチョークが紫色の大輪の花を咲かせている。

 この遊歩道があった場所は以前、店舗を取り壊した後、空き地になっていた。前橋市だけではなく、全国的に中心市街地にはフェンスで覆われた無機質な空き地が散在している。バブルのころに持ち上がった再開発計画が頓挫し、十年以上も放置されている事例も多い。

 コムネットQでは、こうした町中の空地を借り受け、緑を備えたミニ公園に変身させる「コミュニティー・ガーデン・プロジェクト」を推進している。コムネットQのメンバーである松井淳前橋工科大学助教授の「空地の形態や場所に応じて景観にも配慮し、より個性を持った魅力的な緑の空間を点在させていこう」というコンセプトからスタートした。

 コミュニティー・ガーデン造りには、多くの市民がボランティアとして参加している。「グリーン・ウォーク」の測量、プランニング、設計は工科大学の学生たちが連日深夜まで作業して仕上げた。植物の選定はガーデニング教室の先生が新聞報道を見て名乗り出てくれた。植栽作業は地元中央小学校の児童たちが行ったものである。プロジェクトの第一号として造った中央駐車場隣の「前橋中央広場」の芝生も、この児童たちが張った。

 年二回の模様替えには勢多農林高校「草花部」の生徒たちも参加し、花苗の植栽指導をしてくれている。世代を超えて、まちのために、また喜んでもらえる人のために汗を流すことは楽しく、気持ちのいいものである。また、日々の掃除や草花の手入れは近隣のお店の方々が担当している。このようにコミュニティー・ガーデンには実に多くの人たちがかかわり、心を配ってくださっている。名前の通り、これらのミニ公園を介してコミュニティーが醸成されているように思う。

 私自身も植栽の散水などをしていると、通りすがりの方から声を掛けられることが多い。ハーブや芝生談義が始まったりする。このコミュニティー・ガーデンにいると、自然に人の気持ちが優しくなるようだ。また、どの公園よりも美しく見えるのは、多くの人たちの汗と心が染み込んでいるからである、と勝手に解釈している。そして、中心市街地の魅力は、さまざまな発想と多くの市民がかかわっていくことにより、創造し続けることができると考えている。

(上毛新聞 2004年7月17日掲載)