視点 オピニオン21
 ■raijinトップ ■上毛新聞ニュース 
桐生市生涯学習市民の会推進委員副座長 彦部 和子さん(桐生市広沢町)

【略歴】樹徳高卒。桐生境野保育園に約10年勤務。結婚、出産後はPTA活動に尽力。現在、桐生市生涯学習市民の会推進委員副座長、同市民生委員、広沢婦人会副会長など。自営業。

あつまれ広沢っ子



◎米作り通し子供も成長

 毎日、猛暑が続き、何をするにも、やる気がなくなってしまいます。雨も少なく、日照りばかりでは、人間だけでなく植物も心配です。

 実は毎年、田植えをしているので、稲の生長が気になります。田植えをするきっかけになったのは、学校に週五日制が導入されたときです。子供たちは、土曜日をどのように過ごしたらよいか。受け皿として、私たち広沢地区の生涯学習推進委員は地元の公民館を拠点に毎月第二・第四土曜日を「あつまれ広沢っ子」と題し、遊びを中心としたイベントを始めました。

 グラウンドゴルフや料理、ゲームに折り紙など、推進委員だけでなく、指導者として婦人会や広寿会(老人会)の人たちに参加していただき、地元の人たちとの幅広い触れ合いができたのも収穫でした。公民館は平日、サークル活動などで利用者が多いのですが、土・日曜日の昼間は利用者が少なく、子供たちが公民館に来る機会ができたのと、来館することで図書の利用も増えてよかったと思います。

 そして、季節を通して自然に触れたりすることも大事と考え、田植えを体験しようと思いました。推進委員に農家の方がいるので、協力をいただいて毎年、田植えができるようになりました。

 すでに苗は育ててありますが、種まきから発芽して苗ができるまで、そして田んぼの構造などを農家の方に話していただき、田んぼに入ります。素足で入るとヌルッとし、子供たちは歓声を上げます。印の付いた紐ひもは株と株の植える幅で約十五センチ、列の間は三十センチになっていて、一列に並んで印の付いた紐で幅を取っていきます。

 左手に苗株を持ち、二、三本を植えていきます。初めは慣れずにいますが、列が進むにつれて調子が出てきます。植え終ると、隣の田んぼで農家の方が機械植えを見せてくれます。子供たちは「早くて、すごい」などと言って、目を丸くしていました。

 足を洗い、着替えて食事をし、きょうの感想を話したり、稲の成長の様子を聞いたりします。子供たちは時々、田んぼに見に来て、感想ノートに記録していきます。稲刈りでも、自分たちで植えた稲はかまで刈り、機械で植えた稲がコンバインで刈り取られると、またまた目を丸くして驚いています。精米された米で、いよいよ収穫祭。ご飯を炊き、おにぎりを作って食べたり、十二月にはもち米に換えて、もちつきをしています。

 そして、今年は田植えだけでなく、各自が家庭でお米を作ってみることにしました。バケツを使っての稲作り。農協に行って米作りの本をもらって育てていますが、大きくなったかどうか。まだ報告会を開いていませんが、稲とともに子供たちの成長ぶりも楽しみです。

 田植えのほかにも、おりひめバスツアーや広沢夏まつり、もちつき大会など“広沢っ子”は毎回、参加しています。こうした活動を通して、子供たちが自分たちの住んでいる広沢を大好きになってくれればと願っています。

(上毛新聞 2004年8月3日掲載)