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高崎ハム元会長 江原 平治さん(高崎市上滝町)

【略歴】県立箕輪青年道場(現県立農林大学校)卒。養豚経営で農林水産祭天皇杯受賞。県農業経営士協議会長、高崎市農協副組合長、群馬畜産加工販売農業協同組合連合会(高崎ハム)会長などを歴任。

国民的課題


◎今こそ教育改革を

 最近の社会、経済情勢の急速な変化が、われわれ人間社会に与えている様相は、不安要因を醸成する要件が多く感じられ、少からず心を痛めている昨今です。

 人生の目的は、以前にも述べました通り、安心で平和な暮らしができることを願うものです。しかし、現実はどうでしょうか。日ごろ、家族の健康や子供の教育、経済の問題など、解決が求められている問題は、多種多様ではないかと思います。

 いかなる問題に直面しても、要は問題の受け止め方、とらえ方次第ではないかと思います。いかなることも、一朝一夕にあらず、かさねて来る原因があるはずであります。その原因を正しく受け止め、理解して課題の解決に向かって努力すれば、道は必ず開けてくると思います。

 先哲の教えに「天は自ら助くる者を助く」とあります。われわれの日常の生活は平凡な日々の繰り返しであり、その繰り返しの中から新しいものを見いだすことが大切なことであります。

 聖人の教え「苟まことに日に新に日々新に又日に新なり」の精神で、一日一日を大切に、前向きに努力精進することによって、必ず道が開けてくるものであります。私は六十年にわたる実生活の中で、今日でもこのような体験をさせていただき、しみじみと思う今日このごろであります。

 前にも述べましたように、われわれ人間の核は「心」であります。目に見えない心の働きによって、目に見える心の変化をくみ取ることができるはずであります。

 私も七十代後半に入りました。今日まで学ばせていただいた歴史や、先人のご苦労と犠牲によって今日ある平和な国民生活を思う時、これからはわれわれ国民の意識改革以外に道はないと信じます。

 新しい教育による国民一人一人の意識と義務に基づき、正しい日本人としての国家観と人間観によって、素晴らしい国づくりが実現されるのではないでしょうか。

 一人一人が目先の問題に一喜一憂することなく、個人の責任において精進することにより、それぞれの環境の変化が各家庭から始まります。それは地域社会へと広がり、易きに流される人の世の常にとらわれず、政治的に推進していただくことを期待するものであります。

 積極的に教育改革を推進されている政治家もおりますので、今こそ絶好のチャンスではないかと考えますが、いかがでしょうか。

 一九八二(昭和五十七)年、所属団体の要請で米国を訪問したときのことです。当時は高度経済成長が華やかりしときで、日本の常識は世界の非常識と言われていました。だから話ではなく、自分自身の目で確認してくるように、との指導で約二週間、米国で大きな体験をさせていただきました。

 世界は一つと言われる今日、日本が国際的にも、経済的にも、教育的にも信頼される国家の譲成が、日本人としての国民的課題と考えます。

(上毛新聞 2004年9月10日掲載)