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藍天企業(有)代表取締役 井野 敦子さん(高崎市旭町)

【略歴】農大二高、東京国際大卒。高崎商工会議所女性経営者情報分科会長。県IT活用やる気塾幹事、WW21コアメンバー、中国茶文化協会認定中国茶インストラクター。中国中央政府公認中級茶芸師。

男女共同参画社会


◎意識高い中国の女性

 今月二日から八日の七日間、県女性代表団のメンバーとして北京、南京、上海を訪中してきました。この代表団は県が行っている女性国外交流の一つで、中国のNGO組織である女性団体「中華全国婦女連合会」(以下「婦女連」)と毎年交流を行っています。

 今回の訪中団員は保険・福祉と産業・経済から各二人と県職員の方の計五人で構成し、私は産業・経済の担当として参加しました。七日間という短い期間でしたが、保険・福祉は幼稚園、老人福祉施設、老舗の医薬店を、産業・経済は女性企業家の経営する服飾会社、女性再就職プロジェクト、イタリアの自動車工場、南京江寧経済技術開発区のほか、婦女連の傘下である女子大学なども視察し、非常に濃い内容でした。南京、上海では湿度も高く、かなり団員も疲れが見えましたが、受け入れ先の婦女連のパワフルさに元気をいただいた形で日程をこなしてきました。

 この「婦女連」は一九四九年、新中国の成立と同時に女性の人権と尊厳を擁護するために立ち上がった組織で、「自尊・自信・自立・自強」をスローガンに掲げています。個人参加はなく、団体参加を募っており、その単位は省(日本の県に当たる)、市、区、郷鎮(農村部)などの自治体組織で動いているそうです。ですから、中国人女性は婦女連に参加しているという意識はなくても、いざ何か手助けが必要となったときには、参加団体を通して援助を受けられるとのことです。

 婦女連は政治的にも強い影響力を持ち、法改正に提言を行ったり、資金カンパで中国十二省の自然環境の厳しい地域の家庭に一つずつ井戸を提供する運動を行い、九十万人分の飲料水を解決しています。また、沿岸部と内陸部の経済格差が叫ばれる中、都市部のレイオフされた女性たちの再就職事業や、逆に地方からの出稼ぎ女性たちの人権保護、独立したい女性への小口資金援助なども行っており、下部組織には、多数の女性団体も加盟しています。

 男女平等といわれる中国でも、やはり就職や仕事上での差別や家庭内暴力なども年々深刻になってきているそうですが、この婦女連を通じて、いろいろな支援活動が行われているとのことです。

 今回の訪中では、中国女性の政治、経済、行政に対しての意識の高さと、女性自身が支援体制を非常に身近に感じていることに深く感銘を受けました。日本の現状では、なかなか女性だけの団体で婦女連のような組織を作るのは難しいでしょうが、日本の多くの女性が個としての資質を高め、意識をよりよい方向に持ち上げ、地域をはじめとする社会参画から国際的なものの見方が持てるよう歩んでいくことの重要さを強く感じます。

 日本でも、県をはじめ、さまざまな機関が支援体制を行っているので、行政などとも連携し、老若男女を含めた生きやすい男女共同参画社会を次世代に継承していきたいと願っています。

(上毛新聞 2004年9月26日掲載)