視点 オピニオン21
 ■raijinトップ ■上毛新聞ニュース 
NPO法人シーヤクラブ理事長 池田 久子さん(渋川市金井)

【略歴】3人の子供が不登校だったことから、「不登校を考える親の会」を経て、NPO法人シーヤクラブを設立。筝曲アンサンブル「真音(まいん)」主宰。

みんなで子育て


◎支え合い助け合おう

 NPO法人シーヤクラブは、渋川市より「しぶかわファミリー・サポート・センター」の運営を委託され、先月一日から渋川市勤労福祉センターにおいて、会員登録の受け付けを始めました。

 ファミリー・サポート・センターは子育てを支え合う場所です。幼児虐待や少年犯罪の低年齢化、情報のはんらんなどで、子育てが非常に不安なものになっています。また、これからは職業を持つ女性が多くなるでしょう。子育ての手助けがほしい人と、手助けをしたい人を橋渡しをするこのセンターは、未来を担う子供たちを地域のみんなで育てる、という重要な役割を持っています。

 シーヤクラブの活動は六年目に入りました。このクラブの始まりは、私の子供が不登校になったのがきっかけです。最初は戸惑い、悩みましたが、最終的に夫と確認したことは、親自身がきちんと生きよう…そして、その姿を見せること。さらに、家族で笑って暮らすこと、みんなに子育てをしてもらうことでした。

 不登校の子供を持つ六家族で毎週土曜日に集まり、ゲームをしたり、夕飯を作って食べたりと、楽しい時間を過ごしました。小学校の体育館を借りて、親子でスポーツもしました。また、音楽好きな子供たちがバンドを結成し、福祉作業所の「いぶきまつり」や、私の住むりんごの里の夏祭りなどに出演させてもらいました。

 不登校をして、どこか自信のない子供たちが、地域の皆さんに受け入れられて、自信を取り戻し、元気になっていきました。私の子供も、シーヤクラブの仲間や地域の皆さんに育てていただいたなーと、しみじみ思います。本当に感謝です。

 不登校を経験した青年を主人公にした映画『あかね色の空を見たよ』の上映会や、「梅原司平トーク&コンサート」なども地域の団体と協力して開催しました。これらの活動を通して、たくさんの人と出会い、そして、ハンディキャップを持った人たちとも知り合いました。知り合いになると、ハンディキャップが少しも気にならないことに気付きました。知り合うことで、支え合い助け合うことを知りました。

 二〇〇二年三月にシーヤクラブの仲間と活動の拠点「ほっとサロン・シーヤハウス」を造りました。シーヤハウスには不登校の親子はもちろん、子育てに悩んでいる人、子育てを終えて燃え尽き症候群になってしまった人、心に傷を持った人、ハンディキャップを持った人や家族など、さまざまな人が訪れます。「本音」を吐き出すためか、不思議なことに、初めて会うのに前からの知り合いのように親しくなってしまいます。

 ファミリー・サポート・センターの運営も、シーヤクラブの「みんなで子育て」という今までの経験を生かして、活動の輪を広げていきたいと思います。

(上毛新聞 2004年11月19日掲載)