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ERCエコリサーチセンター代表 江原 稔之さん(千代田町下中森)

【略歴】館林高卒。羽生三洋電子(現・関東三洋セミコンダクターズ)などに勤務。約30年の会社勤めの後、環境保全調査会社・ERCエコリサーチセンター創設。

環境保全


◎子供たちに感謝しよう

 私は企業、行政、団体の環境保全活動支援の傍ら、二年前から「Environment Friendly Farm(環境に優しい農場)」と名付けて、野菜や米などを耕作しています。「自給自足ですよ!」と言いたいところですが、なかなかうまくいきません。長いサラリーマン生活が染み付き、合理的に考えてしまうのかもしれません。でも、収穫は至福の時です。

 ところで、実践してみて分かることですが、最近、畑や田んぼ、空き地などに空き缶、空き瓶、ペットボトル、はたまたコンビニ弁当の空容器などがポイ捨てされていることが多くなりました。でも、ポイ捨て禁止の看板とか、地方自治体、学校、地域での親子クリーン作戦とか、数知れず実施していますが、一向に減らないのが現状です。

 ここで、ちょっと堅い話になりますが、ISO14001(国際環境基準)のEMS(環境マネージメントシステム)構築時に「P(プラン)―D(ドゥ=実施)―C(チェック)―A(アクション)を回せ」と指導しますが、特に大事なのはEMS要求事項4・3計画の4・3・1環境側面(原因)を一番に考えます。つまり、現状把握です。真の原因は何かを重視して、ここからスタートします。ポイ捨ての場合も同様に考えると、事実を把握しないまま対応が優先し、活動が自己満足に終わってはいないでしょうか。私はそんな気がします。

 空き缶、空き瓶、ペットボトルの中身を調査すると、空き缶はコーヒー、お茶が多く、中にはビールなどがあります。空き瓶は滋養強壮ドリンクがほぼ100%です(現代人はお疲れ気味ですからね)。ペットボトルはお茶、スポーツドリンクが多いようです。さて、ポイ捨ての内容が分かったところで、どうしますか? これまでも、地方自治体、学校、地域等での親子クリーン作戦を実施してきましたが、これは大変よいことだと思います。

 ただ、事実から視点をちょっと変えて実施してみてはどうでしょうか。まず、子供たちを褒める、子供たちに感謝する。とにかく褒めて、感謝しまくることが大事です。なぜならば、子供たちがポイ捨てしたのではないですよね。コーヒー缶、お茶缶、ましてや缶ビールや弁当の空容器などを捨てるはずがありません。だから「子供たちに感謝」です。

 そして、主催者は必ず、事実を認識した上で参加してくれたお父さん、お母さんに「ポイ捨てはしてないですよね。資源ごみは分別して回収ボックスに入れてますよね」と、子供たちがいる前で相手の心に問いかけてみる。つまり、自然が教室の実践教育を行って、子供たちをお手本に大人たちの意識を変えるチャンスの場にしてほしいのです。

 この場合、主催者は活動の目的を明確にしてシナリオを考えておくことが重要です。私は、こういう小さい活動の積み重ねが、人を動かすのだと自負しております。今からでも遅くはありません。環境保全、やれることから始めましょう。

(上毛新聞 2004年11月29日掲載)