視点 オピニオン21
 ■raijinトップ ■上毛新聞ニュース 
上野村森林組合参事 黒沢 一敏さん(上野村楢原)

【略歴】万場高卒。シイタケ栽培など農業経営に取り組んだ後、高崎市内の生協職員となり店長に。01年から上野村森林組合に移り、総務課長を経て、現職。

森林組合の改革


◎従来の概念に捉われず

 木材の暴落と補助事業の激減により、森林組合経営は存亡の危機に立たされているが、上野村森林組合では県産木材の主伐、間伐材を有効活用し森林のもつ公益的機能を高めようと、新たな事業に取り組んでいる。産直住宅もその一つで、本格的に建築部門へ参入を図るため前橋の立見建設と業務提携し、TBSハウジング伊勢崎会場に上野村の優良木材を多用した産直住宅「ウッディの家 エアサイクルと自然のコラボレーション」をオープンさせた。

 現在、家を建てる工法は木造在来、鉄筋コンクリート、プレハブ、ツーバイフォー工法と多種多様である。日本人は古来より、木造住宅に住みたいという深い郷愁がある半面、木造住宅は価格が高いというエンドユーザーからの指摘も少なくない。実際、市場での丸太、製材品価格は暴落しているにもかかわらず、建設業者が製材品の末端価格と建設費を操作しているため、住宅価格は高値安定なのである。

 素材の生産者でもある上野村森林組合には、有利な制度資金により整備した製材、加工、塗装までの一環した木材加工施設がある。中間の業者を省き、安くて高品質の住宅を供給できるはずだと発想し、産直住宅へと発展したのである。

 施工に際しては木材が腐食するという弱点を解決するため、基礎に栗石(くりいし)を敷き詰め、その気化熱を利用して住宅内部で空気の自然対流を起こし循環させることにより、湿気を持たないエアサイクル工法を取り入れた。壁の間に空気の通り道があるため断熱効果が高く、夏涼しく冬暖かいという利点もある。上野村の優良木材とエアサイクル工法の理想的な組み合わせにより百年以上耐えられる住宅づくりが実現したのである。

 産直住宅は低価格で、使用部材、内装材の品質の確かさ、手抜きのない施工、自然素材を活用し環境に配慮を基本コンセプトに据えている。建設した住宅は多くのエンドユーザーから高い評価を受け、モデルハウスを開設して間もないのに予想以上の反響や受注を得ている。多くの方々にその良さを知っていただくため、機会があったら展示場を見学していただきたい。

 上野村森林組合は企業感覚の発想で職員の意識改革の向上、組合の弱点である営業力強化のため専従営業部員の雇用など、従来の森林組合の概念に捉とらわれることなく、あらゆる事業を視野に入れ積極的に取り組んできた。改革の過程で多少の批判はあったものの、経営に一定の明るい光が見えてきたと確信している。

 多くの森林組合、農協は、国、県、市町村の補助金、補助事業で支えられ保護されてきた。今後、財源縮小に伴い、その後ろ盾を失いつつある。

 昨今、国、県の指導は市町村の合併、組合の合併こそ生き残る方法と説く。近隣の合併した森林組合、農協をみても、単なる人減らしが先行し、組合員サービスの後退など、良い面は全く見えていないのである。

 上野村森林組合は小さくても強い組合を目指し、独立路線を掲げて森林組合員の負託に応えられるよう、まい進する覚悟である。

(上毛新聞 2005年1月21日掲載)