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コーチングハーベスト代表 小林 香さん(吉岡町小倉)

【略歴】渋川市生まれ。新潟大学教育学部卒。企業での人事・労務・研修担当を経て、コーチとして独立。日本コーチ協会群馬チャプター代表。

ごきげんに生きる


◎周りの人に最大の貢献

 今から九年ほど前に読んだ伊藤守さんの本の第一ページに、こう書いてありました。「あなたがごきげんでいることが、あなたがあなたの周りの人にできる最大の貢献」。今まで思いもよらなかった考え方に、とても驚かされました。

 今までを振り返ってみると、確かに思い当たることはたくさんありました。子供のころ、母が台所で鼻歌を歌いながらお料理をしているだけで、私の心は穏やかでたまらなく幸せを感じていました。その一方、家族の誰かがけんかをして、ドアをバタンと激しく閉める音を聞くだけで、私の心は何だか一人ぼっちのような、とても寂しい気持ちになっていたことを思い出します。

 その伊藤さんの言葉に触れて以来、いかに自分がごきげんでいるかということを意識して過ごすようになりました。そして、私の中で一つはっきりしたことがあります。それは、私がごきげんに過ごす上で大切なことは、自分の感覚や感性を大切にして、それを行動に移していくことだということです。

 私はコーチの仕事をしています。コーチングとは、まさに「自分の感覚や感性を大切にして、それを行動に移していく」ことをサポートしていくものです。私は自分自身にもコーチをつけていますが、コーチをつけている究極の目的は、「いかにごきげんに生きるか」を扱っていくことだと思います。コーチをつけているおかげで、自分のやりたいこと、心地よい方向で毎日を過ごすことが出来ている実感があります。ありがたいことです。

 現在、私はコーチの仕事のほかに、自分が気に入ったグッズの販売をしています。販売の仕事を始めるにあたって、迷う時期がありました。自分の中では、販売の仕事をやってみたいという気持ちが込み上げていました。一方、頭で考えていくと、店を持っているわけではないし、コーチ業と販売業の両立は難しいのではないか、採算がとれないのではないか、とグッズ販売をあきらめる理由を多く考えていました。

 そして、自分のコーチとのコーチングでこのことをテーマに話したところ、グッズ販売をしてとても喜んでいる自分をイメージできました。コーチングで浮かんだイメージと、その仕事をしたいという自分の感覚を信じて、販売の仕事を始めることにしました。その結果、仕事を通しての新しいご縁が広がり、この仕事に携われる喜びを味わうことができ、自分の感覚を信じて始めてよかったなと思っています。

 自分の感覚や感性は何を感じているのでしょうか。そこにアンテナを向けていることは、ごきげんな毎日をつくっていくことにつながります。鼻歌を歌いたくなるようなごきげんな毎日を自らつくっていくことを、これからも大切にしていきたいと思います。それが同時に、周りの人への最大の貢献でもあると思うと、うれしくなります。

(上毛新聞 2005年4月10日掲載)