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太田市尾島総合支所ボランティア推進課長 赤石 みち子さん(太田市脇屋町)

【略歴】66年尾島町役場に入職し会計課長、県内初のボランティア推進課長、03年11月生涯学習課長兼務などを経て05年3月の合併により現職。複数の市民活動に参画。

合併後のまちづくり


◎人と人とで大きな渦に

 三月二十八日、合併で人口二十一万七千人の新「太田市」が誕生した。一万四千五百人足らずの旧「尾島町」の職員として奉職していた私は、まさしく井の中の蛙(かわず)だったが、新「太田市」の職員となるや、まちづくりに大きな夢と希望を抱き、大海に飛び出すような気持ちになった。

 合併により、尾島町が百十六年間の歴史を閉じようとしていた今年一月、町をわが子のようにこよなく愛していた九十歳の老父は、この素晴らしい町を未来に伝えたいとの思いで〈尾島讃歌(さんか)〉という詩をしたためた。詩は五番まであるが、一番と五番を紹介してみたい。

 一、町民の森さわやかに/モクセイ香る町役場/展望塔に見てあれば/文化の光照り映えて/良き人づくり目指す町/尾島讃歌のシンボルよ

 五、尾島公園桜(はな)の道/生涯学習センターも/ボランティアの輪も広く/笑顔の奉仕日に増して/われ好日と讃(たた)え合う/尾島讃歌の花と咲け

 割愛した二、三、四番も、「尾島町」の閉町前の様子がうかがえる内容となっている。

 合併前の尾島町を描いた父だが、いつしか地域を愛する皆さんの思いが〈尾島讃歌〉の詩に曲が付き、歌になり、CDになるなど、いろいろと協力してくれた。また〈尾島讃歌〉に共鳴された尾島第九を歌う会の人たちが、今月十五日のコンサートで発表してくれた。さらに、尾島地区のコーラスグループ・コールアッサイの会も、来月二十六日の発表会で歌ってくださるという。

 今回の〈尾島讃歌〉一つを見ても、人を、地域を、まちを愛する心があれば、人と人とが大きな渦になることをあらためて確信した。

 私は、旧「尾島町」職員として、ボランティア等の社会貢献活動の推進、男女共同参画の推進、一学習・一スポーツの推進等に微力ながら携わることができた。

 私がいたボランティア推進課も生涯学習課も、地域や団体の皆さんとのかかわりが多かったため、行政とは逆の立場の見方、考え方を学ばせていただいた。

 地域住民とのかかわりの中で、まちを愛する人と人をいかにつなぐか、つながることで点と点が線に、さらに線と線が絡み合ってネットに―と、まちを愛する人たちの渦が大きくなったときに、素晴らしいまちができることを実感した。合併により、従来の尾島町ボランティア連絡協議会も大きな渦になることを願い、きょう二十一日に名称を太田市社会貢献活動連絡協議会に変更することになった。

 太田市職員となって二カ月近くになる。過去の経験を生かして、井の中の蛙が太田市民の幸せを願ってボランティア等の社会貢献活動を推進し、住民自治のまちづくりに一層まい進していきたいと思っている。

(上毛新聞 2005年5月21日掲載)