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県ドッジボール協会長 横倉 興一さん(高崎市下佐野町)

【略歴】群馬大学芸学部卒。高崎市教委健康教育課長、高崎北小校長などを歴任。同市ドッジボール育成協議会長、県ドッジボール協会副会長を務め、05年5月から現職。

青少年の活動施設


◎魂入れるのは民間活力

 私たちは、現在の世相の中で、子供を守る難しさを実感するとともに、一人でも多くの子供を理解して、健全に育てていくことが優先されるべき、と実感しているのではないでしょうか。

 現実的に、地域社会での子育て環境は悪化の一途をたどっていることは周知の通りです。例にとれば、子ども会のような伝統ある組織も、少子化と親の価値観の多様化が参加児童数の急激な減少と活動の停滞を引き起こしています。私の属している青少年スポーツ界も少子化の波をかぶっています。また、現今の総プロ化現象は弱者の切り捨てを生み、個人主義化と運動嫌いの増大を招くなど、問題を生んでいます。

 これらの現象は、地域の子供一人一人を熟知し、自主性を大切にしながら育てる青少年育成の目標から離れていく原因となっています。私たちは、こうした現状にあきらめることなく、この時代だからこそ、地域子育ての根本理念に立ち返り、草の根的に活動を展開したいものです。

 高崎市内では、浜尻小学校の父母による土曜会、少子化に対応した北小学校子育てネットワークのほか、父親の力を活用したオヤジの会や市児童文化スポーツ連合などの組織が、新しい波を起こそうと取り組んできています。これらの活動を通して、われわれは社会性の高い青少年教育と真に呼べる活動はどうあるべきかを論じ、行動を起こす必要があります。

 一方、青少年の育成団体は多くが個人の自宅に事務所を置くなど、運営が個人の犠牲的な努力によるところが多いという特徴を持っています。半面、個人的趣向に運営が流される傾向も否定できません。重要な青少年の育成がこれでよいのでしょうか。

 目を成人対象の活動に転じると、多くの施設が用意され、補助金も受けて、生き生き安心した活動が保障されているようです。青少年健全育成活動団体が、その社会的役割をさらに高め、安心して活動するためには、活動基地づくりが急務であると思います。小学生から高校生、就業青少年が日常的にスポーツや文化芸能活動ができる「青少年プラザ」のような施設の建設が望まれます。

 一方で、合併で生じた旧役場、支所、公民館、体育館、統合後の学校等の施設を活用すれば、お金をかけずに即、利用できるものもあります。

 そうした施設に魂を入れるのは、やはり民間活力でしょう。施設の管理に、サポーターとか指導者に、青少年健全育成員の組織を拡充し、連携を図りたいものです。そうした民間活力は、利用団体全体が協議することで生み出すことができるのではないでしょうか。そのためには、学校の教職員の応援も欠くことのできない条件となります。

 現今は安全を考え、子供たちが家にこもる傾向がさらに強くなっています。公園で、体育館で、プラザといった施設で、安心して遊べる日の近いことを願うものです。

(上毛新聞 2005年6月1日掲載)