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弁護士 富岡 恵美子さん(高崎市上和田町)

【略歴】中央大卒。71年に弁護士開業。01年まで群馬大講師。現在、県女性会館女性相談支援室長、日本ジェンダー学会理事。女性の人権問題などに取り組む。

DVをなくすには


◎保護と支援をより充実

 二十四歳の男性が、インターネットを通じて知り会った少女を監禁。首輪を付けて支配する生活が三カ月に及んだ。少女はようやく逃げたものの、PTSD(心的外傷後ストレス精神障害)を発症。この男性は監禁致傷で裁判中だが、少女の逃走後、他の女性を約四カ月監禁していたという。

 人を監禁、ペット扱いして楽しむとは、何ということだろう。三年前、高崎市で起きた監禁事件を思い出す。この事件は、同居の女性に手錠をかけ、ビデオカメラで監視するなどして監禁。殴るなどの暴力も振るっていた。自宅のアパートでの監禁生活は二年にわたり、女性は「連れ戻されて、もっとひどいことをされるかも」と、怖くて逃げ出せなかった。犯人の会社員は、会社では何の問題もなく勤務し、家族で出歩くこともあったが、周囲の人々は全然気付かなかった。

 これは、夫・恋人からの暴力(DV=ドメスティック・バイオレンス)にほかならない。

 今回の事件も、暴力で女性を支配するDVであり、それに、インターネットの利用など新たな手口が加わった。

 DVは、昔からある暴力、社会が許してきた暴力である。恋人や妻になら暴力を振るっても大丈夫、警察も家庭内のことだからと、見逃してくれる。世間も、痴話げんか、夫婦げんかと許してくれる。だから、少女監禁の男性は、DVなら許されると学習し、恋人・妻のような親密な関係をアピールするために、女性の住民票を移動したり、婚姻届を出した。そうして、自分は偉いのだ、王子様だと女性を服従させ、支配する喜びを味わっていた。

 だが、どんなに親密な関係であっても、暴力は絶対許されない。「DVは許されない」ということを周知徹底して、DV加害者を生み出さないようにしなければならない。

 それには、まず、DV被害者の保護・支援をより充実させることである。監禁三カ月で逃げた少女は、逃げてもすぐには訴えることができなかった。安心して訴えられるようにしなければならない。そうすれば、次の女性監禁事件は防止できただろう。

 また、加害者処罰をしっかりすることも、不可欠である。悪いことをした責任を認め、償いをすることなくして、更生はない。この「処罰」という事実が、「DVは許されない」と強烈にアピールしてくれる。だから、犯罪抑止効果も大きい。

 少女監禁男性は、ビデオで女性飼育を学習し、インターネットで被害者をあさっていた。今、女性に暴力を振るい、支配するビデオ・雑誌などがはんらんしている。これでは、いくら人権教育を充実して、DV防止を啓発しても、効果は上がらない。強ごうかん姦やDVをそそのかすポルノがあふれ、性の商品化が著しい。

 日本は、世界でも名高い売買春大国。国際的な要請で、ようやく子供ポルノや子供買春を規制したものの、それ以外は野放し状態になっている。暴力ポルノ、犯罪をそそのかすポルノや売買春対策も緊急の重要課題である。

(上毛新聞 2005年6月23日掲載)