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「麺の里」両毛五市の会会長 小暮 高史さん(館林市本町)

【略歴】慶応大商学部、米ウィッテンバーグ大経済学部卒。館林うどん社長。全国乾麺協同組合連合会理事。麺(めん)のまち「うどんの里館林」振興会顧問。

群馬の小麦


◎めんで夏を乗り切って

 毛野国、群馬県は気候、風土、土壌に恵まれ、文字通り小麦の一大生産地です。また、その品質は極めて高く、収量、品質も比較的安定しているため、群馬県産の「農林六十一号」は全国各地の小麦粉の基準値に採用されているほどです。さらに、県がより良い小麦の開発に努め、完成したのが「つるぴかり」であり、「きぬの波」です。

 小麦粉の年間の消費量は四百三十万トン前後。うち、国内で生産されるのはおよそ15%で七十万トンです。粉はそれに含まれるタンパク質の量で強力粉、中力粉、薄力粉と大別され、それぞれ主に、パン用、めん用、天ぷら用、菓子用に使用されています。

 小麦の価格は政府に管理されているため、為替相場、穀物相場によって変動を受けることがない半面、高値安定に保たれがちです。外国産を安く仕入れ、高く販売し、その差益が国内産麦の価格補てんに充当されます。一般的には、国内産小麦粉の方が外国産より安く販売されます。政府の予算の制限があるため、一定量しか国内で小麦を栽培できません。

 本県は、小麦の質量とも恵まれた地域ですから、古くからうどん作りが盛んですし、消費量も多い県の一つです。田舎での人寄せ、あるいは都市部での宴会でも、最後にはうどんが出ますし、逆にうどんが出されたら、「ああ、これで料理も最後だなあ、宴席もお開きだなあ」と合点します。一方、調理方法では県を代表するオリジナルな食し方で、野菜がたっぷり入った冬の「おっ切り込み」、みそをベースにすりゴマをまぜ、シソを刻んだ夏の「冷や汁」は立派な郷土料理といえます。

 これから冷や麦、そうめんが特においしい季節です。乾めんは保存剤、着色料等を一切含まない最も健康的な商品の一つです。その生産量はそば、手延べを含み、生、ゆで、即席めんを含みませんが、年間およそ二十四万トン、うち、冷や麦、そうめんはその半分のおよそ十二万トンです。一食百グラムとすると、十二億食となります。これが夏の七月、八月の二カ月で消費されるわけです。幼児からお年寄りまで一億二千万人の国民で割れば、一人平均十食となります。真夏の時期、全国民が週一回、冷や麦、そうめんを食べている計算になります。

 ここで、おいしく食べる方法を紹介します。まず、ゆでるタイミングですが、なるべく食べる直前にゆでてください。時間の経過とともに味は退化しますので、水切れしないうちにお召し上がりください。もし、時間がたってから食べることが予想されたら、一はし程度ずつ、小分けして盛っておけば、後で食べやすくなります。次にゆでる時間ですが、袋に表示されている時間を参考にしていただければ幸いです。

 夏はめん類のおいしい季節です。群馬の小麦で作られためんを味わってもらい、夏を乗り切ってもらいたいものです。

(上毛新聞 2005年6月24日掲載)