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ペンション経営・山岳ガイド 宮崎 勉さん(片品村東小川)

【略歴】前橋商卒。75年のダウラギリI峰登頂を皮切りに、サガルマータなど8000メートル峰中心の高所登山を続けている。群馬ミヤマ山岳会会長。

中高年者の登山


◎楽しく長く続けたい

 第二次日本百名山ブームは中高年者層が中心となり、一時の勢いはなくなったものの、まだまだ根強い人気があり、多くの人が百名山を目指して頑張っています。
 百名山のうち八座を抱える利根郡では、休日ともなると登山口の駐車場は他県ナンバーの車で埋まります。また、山頂には多くの登山者が集まり、ゆっくりと弁当を食べることができないほどの混雑ぶりが続いています。

 中高年登山者にとって、百名山は決して無理な目標でなく、努力すれば可能であり、しかも完登するには全国を歩き回るため、その行動範囲が広く達成感も大きくなります。ただ、漠然と登っていた人が目的意識を持ち、目標に立ち向い情熱を傾けられるものを発見した喜びは、登山をより一層楽しいものにしました。

 そうした力は、次への大きなステップとなり、百名山から海外の山へと進みました。ヨーロッパから始めたトレッキングは、アジア、アフリカのほか、世界各地に広がっていきました。

 ヒマラヤ登山においても活躍は目覚しく、毎年多くの登頂者を出しています。三浦雄一郎さんによって、七十歳にしてもエベレスト登頂が可能であることが分かりました。  私も毎年、ゲストとともに海外トレッキングや登山に出かけます。皆さんの年齢もまちまちで、楽しみ方もいろいろです。でも、必ずといってよいほど、目的を達成してきます。それは、無理な行動をせず、年相応の登山ができるからです。このことは簡単なようでとても難しいことです。私自身、つい年を忘れ若いつもりで行動してしまいます。

 登山は冒険的要素を含み、常に危険が伴います。さらに、挑戦的精神を持ちながら冷静さを求められます。自分の力と能力を自覚し、自信過剰にならず登山ができたら、といつも思っています。
 無理ということに中高年者のトレーニングがあります。充実した登山をしていると、ついトレーニングにも力が入ってしまうのか、健康的であるべきものが、次第に過激になり、ついには体を痛めてしまうケースが多く見られます。

 知り合いのケースでも、初めは散歩から始まったものがエスカレートし、最後は夜も明けぬころからヘッドランプを頼りに、毎日五十―六十キロを歩くようになってしまった。また、裏山へ散歩していたのが登山に変わり、早朝より何度も往復するようになり、ついには登らなければいられぬようになってしまった。

 過度の行動は、大切な足腰に大きなダメージを与えてしまいます。回復は困難なもので、登山のトレーニングであれば、日に一―二時間ゆっくりと歩けば十分ですし、月に二回ほどの山行ができれば、体力、登山感は維持できます。中高年登山者にとっては、いかに長く、楽しく登山を続けられるかが大事で、無理は禁物です。自覚してください。

(上毛新聞 2005年7月13日掲載)