視点 オピニオン21
 ■raijinトップ ■上毛新聞ニュース 
常楽寺住職 本城 亮俊さん(太田市上田島町)

【略歴】群馬大教育学部第二部修了。小学校教諭、太田市教育史編さん委員。現在は同市書道連盟理事長、県書道協会理事などを務める。54年から常楽寺住職。紫雲書道会主宰。

県書道展・美術展


◎展示壁面の拡大が急務

 第二十九回県民芸術祭の一翼を担う秋の第五十六回「県書道展」の準備が始まっている。美術展も写真展もしかりである。県民総参加を目指す「県民芸術祭」は、書道展、美術展、写真展をはじめ、多彩な芸術文化事業を推進する本県の総合的な文化事業であり、本県が掲げる「芸術文化の振興」の中心を成すものである。

 先年、県が二〇一〇年を目指して策定し、広く県民に公表した総合計画「新ぐんま2010」にも、「特色ある文化施設の整備、充実に努め、県民総参加を目指した県民芸術祭の一層の充実」を大きな柱として掲げている。

 私も運営に携わってきた「県書道展」では、かつてその運営に県から二百万円の委託料が支出されていたが、現今の経済活動の低迷に深くかかわって、その金額が年々減額されている。本年は百六十万円となり、その費用は「県書道展」運営のわずか十分の一ほどになってしまっている。誠に残念なことである。

 また、県書道展の中心会場で第一会場となる県立近代美術館一階の展示室は、作品展示の十分な施設がなく、十五日間の作品展示のために毎年、仮設パネルを特設している。その費用は百万円を超え、作品展終了とともに取り壊し、撤去しているのが現状で、その費用を累計すると大変な金額が失われることになる。実にもったいない話である。

 これは書道展だけではなく美術展も同じである。一九七四年十月にオープンした県立近代美術館は開館以来三十年を経過し、施設も非常に老朽化している。先年、書道展の開幕を前に展示会場の天井の一部が崩落したり、昨年は作品審査室の照明の一部が故障し、仮説の照明で審査を進めるということもあった。最近の展示会場の多くは移動パネルの操作一つで壁面のレイアウトが自由にできる施設が多く、近代美術館もこのような施設に改造できたら、毎年、書道展だけで百万円を超える仮設費が失われる不経済な現状が改善されるのではないかと思う。

 また、照明も改善されたら、もっと素晴らしい書道展となり、美術展となると期待してやまない。さらに、県書道展、美術展とも狭い壁面に作品がひしめくという現状を見ると、展示壁面の拡大は急務である。県が高額な資金で購入した美術作品が常設展示されている二階のスペースも、県民芸術祭の期間だけでも開放できないものだろうか。

 県が掲げた「芸術文化の振興」の政策にも「県民が優れた芸術を鑑賞できるよう、各地域に舞台芸術、音楽公演、美術展などの巡回事業を充実する」ことをうたっている。県展である美術・書道展の期間、常設公開作品の地方巡回事業を実施し、県が所蔵する優れた絵画をより多くの地方の方々に見ていただくことで県展作品の展示面積が広がり、ゆったりした環境で作品を鑑賞していただくこともできる、と思えてならない。

(上毛新聞 2005年8月12日掲載)