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フラワービレッジ倉渕生産組合理事長 近藤 龍良さん(倉渕村水沼)

【略歴】愛知県出身。商社勤務の後、86年に家族で倉渕村に移住し農場を開設。フラワービレッジ倉渕生産組合理事長、NPO法人・日本園芸福祉普及協会専務理事。

食育


◎まず食農を体験したい

 国民の心身の健康確保を目指し、昨年から審議されていた「食育基本法」が六月に交付され、七月十五日から施行されています。これは二十一世紀の日本の発展のために、子供たちが健全な心と体を培い、未来や国際社会に向かって羽ばたくことができるようにするとともに、すべての国民が心身の健康を確保し、生涯にわたって生き生きと暮らすことが大切であるという趣意の法律です。

 さらに、この法律の前文では、人々は日々忙しさの中、毎日の「食」の大切さを忘れがちで、栄養の偏り、不規則な食事、肥満や生活習慣病の増加、過度の痩そう身しん志向などの問題に加え、「食」の安全の確保からも自ら「食」のあり方を学ぶことが求められている、としています。

 最近の調査によるわが国の食料自給率は40%と世界的にみても最低率で、「美食」の名のもとに希少素材や高価食材が一流の食品とはやされている傾向にあります。豊かな自然の下で先人からはぐくまれてきた地域の多様性と豊かな味覚や文化の薫りあふれた日本の「食」が失われていく危機にある、ともいわれています。

 本県においても古来から特有の穀物や野菜、そしてそれらの加工食としての米、麦粉や漬物類など全国に誇れる食材、食品が多彩ですが、意外に県内、特に若い人たちは知っておらず、嗜し好こう性も高いとはいえません。これは、本県人に限らず、特に若い人たちにいえることですが、生活環境の変化や、「食」の基準がファッション化する傾向にあり、しゃれた盛りつけや食器類、色彩、そしてカリスマ調理人といわれる人などの料理がよい「食物」で、郷土食は田舎食という軽視になっているところが見受けられます。

 いま、O157やBSE(牛海綿状脳症)騒ぎで「食」の安全性が一段と厳しく問われていますが、特に未来ある子供たちが「食」についての適切な知識を身につけるための「食育」は必要なことであると思われます。

 ただ、これも単に机上による教育だけでなく、実際の体験や実践によって学ぶことが必要で、特にその食材がどんなもので、どんな状態で栽培されているものだという実体を知ることが最も重要なことと思います。いってみれば、「食農」についての知識や勉強が安全な「食材」の選択になり、健全な食生活を身につけるというものです。

 地産地消ということがいわれていますが、実際に「食農」を体験すれば、当然その意味も理解できますし、また、調理方法や料理技術などの研究や工夫が、おいしく楽しい食生活につながっていくものと思います。

 ファストフードがはんらんしたり、不規則な食生活が広まっている風潮の中、「食農」の体験はスローライフ、スローフードのライフスタイルをつくり上げていくきっかけとなっていくものと期待しています。

(上毛新聞 2005年9月1日掲載)