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高崎経済大学地域政策学部教授 生沼 裕さん(東京都在住)

【略歴】栃木県生まれ。89年に東京大法学部を卒業し、自治省(現総務省)入省。環境庁、内閣官房、大阪府などの勤務を経て自治大学校教授。04年4月から現職。

平成の大合併


◎選択と集中の行財政を

 「平成の大合併」により全国の市町村が大きく再編される動きも、財政上の特例措置等を講じた旧合併特例法に基づく合併申請期限が本年三月末に切れ、一ヤマ越えた感がある。総務省によると、全国の市町村数は来年三月末には千八百二十二(七百七十七市、八百四十七町、百九十八村)となり、今時の大合併が本格化する前の平成十一年三月末の三千二百三十二(六百七十市、千九百九十四町、五百六十八村)と比べ、千四百十団体の減少となる。この間、全都道府県で合併が行われ、新潟県(百十二↓三十五)や広島県(八十六↓二十三)など大幅に数を減らす県、富山県(三十五↓十五)や福井県(三十五↓十七)など数が二十を下回る県も相当数見られ、村のない県は二から十三へと大きく増加することとなった。

 本県も例外ではない。四十五市町村が十四市町に集約され、七十団体(十一市、三十三町、二十六村)から三十九団体(十二市、十七町、十村)へと数を減らす。前橋市、高崎市は人口三十万以上(中核市)、太田市、伊勢崎市は人口二十万以上(特例市)となる一方、人口一万人未満の町村はその数を半減させる。議員数も合併する市町村において、七百八十四から議員が合併後一定期間在任できる在任特例後の新定数四百十一以下となる。

 一方、合併せず、単独自立の道を選んだ自治体もある。平成十三年十月に「合併しない宣言」をした福島県矢祭町などがその代表例である。矢祭町は人口約七千人、歳入の約半分を地方交付税に依存するなど、決して財政が豊かとはいえない町である。同町は、生き残りをかけた行財政改革に取り組み、一定の成果を上げつつある。まず、議員定数を十八から十に削減。町長等の特別職の報酬を総務課長の給与額まで減額、その他職員数の削減等に取り組む一方で、特別職を含む全職員が役場内の掃除や町税の滞納整理を行うなど、経費の削減等に努めた結果、地方交付税が減少する中で、町債残高の削減に成功している。

 財務省によると、本年度末の国・地方の長期債務残高は七百七十四兆円程度。実にGDP(国内総生産)比151・2%に達する見込みである。このような財政状況の下、人口減少・少子・高齢化社会を迎え、国・地方を通ずる行財政改革は待ったなしの状況といえる。

 総務省は、本年三月に「新地方行革指針」を示し、全国の自治体に対し、さらなる地方行革の推進を要請した。各自治体は住民の理解を得ながら、引き続き厳しい行革に取り組む必要がある。合併した自治体も、合併特例債などの合併に伴う財政措置を安易に費消することなく、人件費の削減や事務事業の取捨選択等をこれまで以上に厳しく行っていく必要があろう。

 合併に伴う合理化・効率化の効果を無にしてはならない。また、単独自立の道を選択した自治体はなおのこと、首長・議員を先頭に官民一体となって、行革に真剣に取り組む気構えと覚悟が必要であろう。住民も、行革の取り組みをよく理解し、厳しく評価していく姿勢が望まれる。「あれもこれも」ではなく「あれかこれか」、「選択と集中」の行財政運営が求められている。

(上毛新聞 2005年9月11日掲載)