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高崎経済大学非常勤講師 桂川 孝子さん(高崎市岩押町)

【略歴】高崎市出身。89年上智大文学研究科教育学専攻博士課程前期修了。松下政経塾卒塾。住友生命総合研究所主任研究員を経て02年退職。共著「地域介護力」など。

NPOやNGOの活躍


◎市民の支えが不可欠

 近ごろ、「NPO法人」という言葉をよく目にする。NPO法が成立して七年、認証された法人数は二万三千に上る。

 環境分野におけるNPO/NGOの活動は、国連環境開発会議(一九九二年)以降、国際舞台で認知されるようになった。環境問題に関する多様な経験や専門知識・能力を有すると国連から認められ、気候変動枠組み条約などの交渉会議でもNPO/NGOはオブザーバーとして参加し、文書・口頭での意見を述べている。

 専門知識や能力を備えたNPO/NGOは、企業や行政と対等に話し合い、協働作業を通じて価値観の共有を図っている。例えば、スウェーデンのナチュラルステップは、環境教育を通じて企業が「持続可能性」という価値観を理解し、それを事業活動の中で具体化するための最適な方法を探す援助をしている。この方法は、スウェーデンのほとんどの自治体と多数の企業の賛同を得ている。

 グリーンコンシューマー運動の旗手J・エルキントンらによって始まった円卓会議は、NPO/NGOをはじめとした社会のステークホルダー(利害関係者)と企業が環境保全に関する対話を図り、お互いの価値観を共有することによって環境保全の視点をビジネスの世界に組み入れていくことを目的としている。近年、トヨタやNECなど環境先進企業はステークホルダーとの対話を重視している。

 M・ネルファンは、社会を変化させる原動力となるのは民衆の力であるといった。NPO/NGOの活動は、市民の力を具現化する一つの在り方といえる。私も循環型社会推進国民会議というサラリーマンを中心にした三百人ほどのNPOでささやかに活動をしている。法人化するほど活発に活動していないが、年四回の会報発行と、循環型社会の普及や啓発を兼ねたシンポジウムを年一回開催している。勤め人が活動するためには、事務局としてサポートする熱心で志の高い仲間の存在が不可欠だ。自分たちを例に挙げれば、世の中が少しでも良い方向に向かうことを願う理念はよくても、自己満足ではない効果を得ることが課題である。

 以前、北欧やドイツ、米国のNPO/NGOを訪れたが、規模の大きさや効率的な組織運営に感心した。優秀な専任スタッフがおり、それを支えるたくさんのボランティア会員がいる。基盤となる資金の多くは寄付によるものだ。例えば、NABU(ドイツ自然保護団体)の場合、会員数は約二十八万人、日本では規模の大きい日本野鳥の会でも五万人には届かない。

 環境の質を正当に評価せず、優先的な政策課題としていない現在の社会・経済の在り方が地球環境問題を広げている。「環境保全」という価値観を組み込むことにより、持続可能なシステムに転換させる必要がある。その作業は既存のシステムによって立つ政府や市場のみに委ねることは難しい。専門知識を有する環境NPO/NGOが育ち、大いに活躍することを願う。そして、それを支える市民の力こそ最も求められているものだ。

(上毛新聞 2005年9月22日掲載)