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フラワービレッジ倉渕生産組合理事長 近藤 龍良さん(倉渕村水沼)

【略歴】愛知県出身。商社勤務の後、86年に家族で倉渕村に移住し農場を開設。フラワービレッジ倉渕生産組合理事長、NPO法人・日本園芸福祉普及協会専務理事。

クラインガルテン


◎園芸福祉の原点の活動

 「クラインガルテン」とは「小さい庭」と直訳できますが、日本での「市民農園」の制度を指すドイツ語です。ただ、以前からあった日本の小さい仕切りをした分区園や一坪農園とは違って、本場のドイツでは三百平方メートルぐらいの広さの庭に二十五平方メートルのしゃれた小屋(ラウベ)があり、そこでは家族や友人たちともども家庭菜園や花などをつくって、自然の中で週末を過ごす活動に使われています。

 日本でも一九八七年ごろから倉渕村でクラインガルテンの提唱や実践が始まり、新しく「市民農園法」などの法整備も行われ、全国各地に広まってきています。最初に倉渕村で誕生したこの制度も、今では全国六千カ所以上に開設されていて、わが国のグリーンツーリズムや都市農村交流事業の大きな柱になってきています。特に、農業、農村の過疎化に伴う休耕地の活用方法としても重用されて各地で広まってきています。

 ただ、単に休耕地を貸し出している市民農園などには、飽和的な状況になってきている半面、農作業の指導やコミュニティーの機能を十分に備えたところには今でも借りるのに長い待機期間が必要なところがあるなど、その差がでてきているようです。

 既に、長野県松本市の「坊主山クラインガルテン」や茨城県笠間市の「笠間クラインガルテン」などは、本場のドイツのクラインガルテンなどにも引けを取らないくらいの広さや楽しさを備えてガルテナー(農園利用者)に好評を得ています。

 もともと、クラインガルテンとは一八七〇年代前半にドイツ・ライプチヒのシュレーバー医師によって開設された制度で、百三十年にわたって続いているものです。当時ドイツでは産業革命後、地方から都会へ移った人たちの中で、特に子供たちに不解明な精神的障害のある人たちが多く見られ、その治療のためにシュレーバー医師が菜園作業をさせたところ非常に効果が認められて今日に至っているということです。

 シュレーバー医師は、人々にとって自然や土との接触がなくなることが成長や暮らしに障害を来すと考えて、土と親しむシステムとしてクラインガルテンを創つくり出しました。今でもドイツではクラインガルテンのことをシュレーバーガルテンとも呼んでいます。

 自然や土と触れたり、植物や花を育てる行為が人々の幸せや健康の増進につながる園芸福祉の原点の活動がクラインガルテンともいえます。そこでは、職業や年代などを超えた平等なコミュニティーが植物や花を介して展開されています。

 平成二十年には本県で都市緑化フェアが開催されることになっています。単にお祭り騒ぎのイベントにならず、このフェア開催が起点となって植物や緑の効用を広く伝え、クラインガルテンの運動に広がっていくことを期待しています。

(上毛新聞 2005年10月22日掲載)