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弁理士・羽鳥国際特許商標事務所長 羽鳥 亘さん(前橋市北代田町)

【略歴】成蹊大法卒。旧東京三洋電機特許部を経て87年独立。県知的財産戦略会議委員、日本弁理士会小中高支援チームリーダー、県高等学校PTA連合会長も務める。


ものづくり立県ぐんま

◎創意くふう教育に力を

ものを作る喜びと創意くふうすることの楽しさを広め、県民の発明思想の高揚と科学技術の振興に資することを目的にした「県創意くふう作品展」が毎年開催されています。

 この創意くふう作品展には、「一般の部」のほか、県内すべての小中高校の児童生徒を対象にした「児童生徒の部」があり、この児童生徒の部に昨年は県内各地から総計千七百五十九点という多くの作品が県内十一カ所で開催された地区展に出品されました。私も毎年、審査員の一人としていろいろな作品を楽しく拝見させていただいております。

 この「児童生徒の部」の県内総出品点数ですが、残念ながら、年々減少の一途をたどっており、平成七年の二千三百五十一点とその十年後にあたる昨年の総出品点数を比較すると、約25%の減少となっています。

 七年の県内小中高の児童生徒総数約二十九万人に対して、昨年が約二十四万人と約17%減少している点を考慮しても、県内における総出品点数の減少は、県内小中高生による創意くふう意識が減退している表れであり、「ものづくり立県ぐんま」を次世代に引き継ぐ観点からも、早急な対策が必要と思われます。

 このように総出品点数が減少している一方、高崎地区の「創意くふう作品展」には十年連続で県内全作品の約25%となる五百件前後という多数の作品が出されており、前橋少年少女発明クラブからも毎年、県展上位入賞者が多数出ています。

 この前橋、高崎のケースとも、退職教員の方を中心にした指導者の方々が子供たちを熱心に指導していただいており、このような指導を受けた子供たちが「発明のヒント」を得ることにより、優れた作品が誕生しているように思われます。

 「創意くふう作品展」の審査基準の一つに「単なる模型および工作品または模倣作品は採用しない」という基準がありますが、この点を子供たちに理解させ、かつ、過去の優秀作品の工夫ポイントを紹介するだけでも、子供たちの頭は柔軟ですので素晴らしい独自のアイデア作品が出てきます。

 私は、県内すべての小中高生の「創意くふう」意欲を向上させ、「ものづくり立県ぐんま」を継続させるために、「シルバー発明指導員事業」(仮称)を提案したいと思います。それは、定年退職された理科・技術等の先生方を県で臨時再雇用していただき、退職された先生方に専門家による「発明のヒント」等に関する十分なレクチャーを受けていただいた後、県内すべての小中高校に派遣し、児童生徒に「創意くふう」の楽しさについて教えるという事業です。

 「十年後、二十年後の日本のエジソンを群馬から輩出する」ために、子供たちの「創意くふう」教育にもっと力を注ぎたいものです。






(上毛新聞 2006年4月8日掲載)