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日本画家 上野 瑞香さん(富岡市七日市)

【略歴】東京芸術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻日本画第三研究室修了。05年3月より富岡市内にアトリエを持ち、現在は個展、グループ展を中心に活動。

色の好みの変化

◎人生の大きな転機か

 四月も終わりに近づきましたが、四月というと、私には桜と入学式が思い出されます。ちょうど十年前の四月十日、遅咲きだった満開の桜の中、私は大学に入学しました。

 芸大、美大の実技試験というのは、受かってしまえば、その合格ラインが何となく分かるものなのですが、学科のように絶対的な正答がないので、受験勉強中は自分がどのレベルにいるのか、つかみづらいものです。

 しかし今思うと、私の場合、自分の使う色にはっきりと表れておりました。最初に自分の作品を日本画として意識したころは、まだ予備校生だったので、その色調は暗く寒色系ばかりで、新岩黒緑青(深緑)や新岩黒群緑(あい色)を多く使っていました。けれども大学に受かった年、予備校で描いた日本画は、本来の私の好みである暖色系の色調になっておりました。

 この変化は、自分の気持ちが合格のレベルまで達していた、つまり、その年に受かるべくして受かったことを、意味するものとしか思えません。ほとんどの合格者が、話してみると同じようなある種、何かしらのサインに気付いているようです。絵の実技試験の場合、基本以外は、心持ちで決まるのだと思います。

 近ごろ、あなたの好みの色が変わったりしてはいませんか? もしくは、以前に色の好みが変わった時、今思えばそれは、何か人生の大きな転機だったのではありませんか? 意識はしていなくとも、あなた自身のどこかしらが、色の信号として、あなたに語りかけてくれているのかもしれません。逆に言えば、自分の色の好みの変化に気付きさえすれば、それまでのマイナス思考から決別することも、可能なのではないでしょうか。

 実は今、五月に行う七人展「wellmet!06groupexhibition」(一―七日、十三―十六日、二十・二十一日、二十四―二十八日)に向けて準備を進めているのですが、彼らに初めて出会ったのが、その入学式です。いつの間にやら時はたち、今年で十年目の春を迎えることとなりました。

 この七人展は、昨年オープンし初めて六人展を行ったアトリエU・E(富岡市七日市)で、今回は新たに一人を加え、同級生七人による展示となりました。昨年は私がプロデュースしましたが、今回はメンバーの一人である横山貴裕による企画展示となります。昨年は「今」と「自然」が全体のテーマだったのですが、今年はそういったテーマをあえて定めず、各人が現在行っている活動の延長として、七人が集結します。

 そんな中で、私の作品テーマは「わたしとその六人」。ずっと今というものと色というものをテーマに、作品を描いてきました。そして今回、あらためて十年を振り返って、七人とそれを取り巻く今を表せたら…と思っております。その色に対して私が抱くイメージは、一般的なものとは異なるかもしれません。しかし、私の感じるところの七人七色が、一つの作品になればよいと考えています。
















(上毛新聞 2006年4月28日掲載)