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市立伊勢崎高校PTA会長 吉田 洋子さん(伊勢崎市曲沢町)

【略歴】足利市出身。旧赤堀町曲沢に嫁ぎ、2男1女の親。県精神医療センターに勤める。今年で25年目。社会生活技能訓練リーダー。

なやみ相談室を開いて

◎もっと語り合いたい

 一年前、市立伊勢崎高校のPTA会長に決まったとき、家族に報告すると、誰もが「えー、何でお母さんなん。大丈夫なん」と言った。私自身、何も分からず、同校初の女性会長ということもあって、不安でいっぱいだった。娘も大反対で「いやだー、学校やめる」と言い出す始末。一晩考えて断ろうと思ったが、娘が「あんまり派手にしないで! 頑張って!」と言ってくれた。その後、ピンクのかわいいスリッパをプレゼントされ、あいさつの時に履いたら気持ちが落ち着いた。娘に「ありがとう」と感謝した。

 PTAの研修会で伊香保に行ったとき、他校の校長先生に「大変だけど女性会長は学校が栄えるよ。頑張ってください」と言われ、ますます頑張る気になった。そこで、何か私にできることはないかと思いついたのが「おばさんのなやみ相談室」だった。担当の先生に相談したら、とても感動して、協力をしてくださるとのこと。毎月第一土曜日の午後に開設が決まった。

 総会で保護者に報告し、チラシを配布した。相談日が近づくにつれ、不安になった。何でこんな大それたことを言い出したのか、私に何ができるのか、相談されたらどうしよう、と悩んだ。

 第一回の相談室が開かれた。何と二人から相談を受けた。悩みを聞いても、こうした方がいいと結論を導くことはできないと思い、今までの人生経験などの中から話をした。暗い表情で来た人も、帰りには笑顔になったときは本当にほっとした。現在十回目を終わり、五月の第一土曜で最終日となるが、保護者や生徒ら七人、電話でも三人から相談を受けた。

 相談に来るまで何回も悩み、学校の校門を出たり入ったりする人や、思い切って来たという人もいた。「女性のPTA会長だから来たんです」「何もかも話したら、すっきりした」との声もあった。また、他の人と顔を合わせるのがいやだとの意見もあり、誰とも合わないように工夫した。


 結局、何の手助けをしたわけでなく、話をただただ聞いただけだった。それでも、だんだん顔色がよくなり、自信なく話をした人も活気を取り戻し、笑顔になった。悩みながらの一年。今思うと相談室を開いてよかったと思う。自分自身、大変勉強になり、逆に励まされた。

 パソコン、メール、ゲームなど、声を出さずとも用が足せる時代。そのため、会話が少ない。親や子、友人、近所の人が互いに声を掛け合い、存在を認め合って会話することで、心のストレス、悩みも軽減する。毎日の忙しさの中で、自ら解決しようと意地を張り、結局、自分を追い詰める。とにかく、まず会話をすること、相手の身になり考えることが大切だ。私も仕事、家庭でもっと語り合いたいと思う。

 毎日、明るく大きな声で、まず朝のあいさつから始めてみると、きっと一日が気持ちよく過ごせるはずである。

















(上毛新聞 2006年4月29日掲載)