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内閣府参事官 小暮 純也さん(埼玉県草加市)

【略歴】伊勢崎市出身。前橋高、東大法学部卒。80年自治省入省。総務省地域放送課長、財団法人市町村アカデミー研修部長などを経て、昨年8月から現職。


リゾートホテル

◎欧米人を呼び込もう

 私が勤務していた市町村アカデミーでは、年に何度か市町村長さんや市町村議員さんを対象にした特別セミナーを開催しています。この特別セミナーは、地方財政など国の最新の動向に関する話と、日ごろ聞けないような著名な講師の話が、大きな売りになっています。

 市町村アカデミーの教授陣が、ぜひ一度話を聞きたい、聞かせたいと思った方々を講師にお招きするのですが、地域づくりや人づくりなどの観点から、観光関係の著名人も多くお呼びしています。特に印象が深かったのは、大分県の由布院温泉のリーダーである溝口薫平さんの地域づくりのお話と、世界に通じるリゾートホテルとして人気の高いザ・ウインザーホテル洞爺をつくり上げた窪山哲雄さんの人づくりの話です。

 今回は、ホテルマンとして有名な窪山哲雄さんの話を紹介したいと思います。窪山さんは、テレビドラマにもなった石ノ森章太郎の「ホテル」の主人公のモデルともいわれ、長崎のハウステンボスでホテルヨーロッパなど五つのホテルを軌道に乗せた後、日本で初めての独立系ホテル運営会社の社長としてザ・ウインザーホテル洞爺を立ち上げた方です。

 多くの方の前で話すのは少々苦手だとおっしゃっていましたが、誠実な人柄がにじみ出た貴重なお話は大好評でした。そこでのポイントは、北海道拓殖銀行の破たんの波を受けて一度閉鎖したホテルをいかに再開させたかという、NHKテレビの番組「プロジェクトX」のようなドラマチックな話と、ホテルに最も重要なのは設備などのハードではなく、サービスの中心である従業員の人づくりであり、顧客満足度を上げるためには従業員満足度を上げること、などの哲学でした。

 そして、この哲学に基づいて、経験の浅いスタッフを短期間で一流のホテルマンに育て上げたわけですが、世界に通用するホテルマンを育てるために、学校までつくっています。

 このような話は、市町村などでの人づくりにも参考になりますし、また、観光県である群馬の参考にもなるかなと思います。詳しくは、窪山さんの著書である『サービス哲学』や『プロジェクト・ホテル』などをお読みすることをお勧めします。

 最近もお会いする機会があり、世界に通じるリゾートホテルとなるためには、欧米人を呼び込めるかが一つのポイントになるが、さわやかな北海道の気候が売り物の一つになっている、などというお話を聞きました。群馬もさわやかな高原が多いですから、世界に通じるリゾートホテルがどんどん出てくることを期待しています。






(上毛新聞 2006年7月16日掲載)