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◎「一社一技術」制度 特許を取得するための重要な登録条件として、特許出願前に世の中に存在していない新しい発明であるという「新規性」、既存の技術から容易に発明できたものではないという「進歩性」、他人から先んじた発明であるという「先願」という条件があります。 このように、「新しく、従来のものから簡単に考えられず、他人より先に」考えられた発明を特許権として成立させる仕事を常としているのが弁理士です。 私がチームリーダーをしている日本弁理士会小中高等学校支援チームでは、弁理士が授業で使用する小中高校生向けの知的財産権授業教材を開発していますが、この開発に際しては、弁理士が作成する教材ですので、この特許登録条件をパスするような「弁理士らしさ」が前面に出る教材の開発を心がけています。 先日作成したパソコンプレゼンテーションソフトを使用した小学生向け「電子紙芝居」では、動物キャラクターが「発明」の内容、「特許」を取るやり方、他人の無断実施への対策等を、楽しい画面と解説付きの分かりやすいセリフで説明するという斬新な内容になっています(今月一日に県庁で電子紙芝居を使用した小中学生向け特許セミナーを開催しました)。 また、高校生向け授業では、生徒さんに発明者役・類似品製作者役を演じてもらう寸劇形式の授業台本を開発しています(来月四日に県産業技術センターで寸劇形式の一般向け特許セミナーを開催します。問い合わせ・申し込みは前橋商工会議所へ)。 話が飛躍しますが、県では平成十二年度から、「ものづくり」技術により支えられ発展してきた本県経済を、さらに向上させ継承させるために、県内製造業者の優れた独自技術を「一社一技術」として選定する制度を行っています。 この制度は、他県に先駆けて制定された素晴らしい制度であり、ここ数年の県の産業発展の原動力となってきた制度と思います。 しかしながら、この「一社一技術」制度は、昨年までに総計約千社という多くの企業がその選定を受けており、かつ選定開始から六年を経過した今日においては、選定制度自体に斬新さが失われており、この制度を根本的に見直す時期がきていると思います。 「ゆるぎない、ものづくり立県ぐんま」継続のためには、県内製造業者の優れた独自技術を常に改善・向上させていく「一社一技術」のようなシステムを県が策定することは必須であり、仮に「一社一技術選定」に代わる新しいシステムを策定するのであれば、従来の固定観念にとらわれず、「新しく、従来のものから簡単に考えられず、他人より先に」という「斬新さ」が前面に出るような新システムを策定してもらいたいものです。 (上毛新聞 2006年10月21日掲載) |