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NPO法人渋川広域ものづり協議会長 岸 邦夫さん(渋川市渋川)

【略歴】渋川高卒。美容室ジョー社長。県理容美容協会長。渋川広域まちづくりネットワーク協議会長などを務め、地域の活性化やボランティア活動に取り組む。

子供たちと花づくり

◎豊かな心で成長して

 「ものづくり・人づくり・環境づくり・地域づくり」を目指して地域の同志でNPOを設立して、六年が経過しました。会員は地域の企業二十法人とボランティア活動に賛同していただいた百二十余人のメンバーです。

 年間の主たる活動は、夏休みに親子ふれあい木工工作教室を開催したり、地域とのふれあいを求めて地場ものづくり産業の紹介と市民フォーラムを開催し、フォーラムは今年で十二回目を実施したところです。

 そのほか、渋川市中村地区の国道17号の中央分離帯内(長さ二百メートル、幅十メートル余りの敷地)でアナベルとサルビア等を植栽し、平成十五年から手入れをしています。場所は渋川伊香保インターチェンジを降りた所です。インターの交通量は一万四千七百台(一日平均)、国道17号については三万四千八百台(同)の往来があります。

 ここは、マナーの悪いドライバーが、ごみやペットボトルなどをポイ捨てする場所でしたが、「きれいにすれば、ごみを捨てる人が少なくなる」との情報をいただき、熱意ある当会のメンバーとともにこの事業を開始しました。

 アジサイは渋川市の花で、西洋アジサイのアナベルは純白の大輪の花を咲かせる魅惑的な初夏の花です。渋川伊香保インターは伊香保温泉や中之条・草津方面へ向かう人たちの玄関口で、その第一印象がこの地点から始まります。多くの観光客が花を通して美しい群馬の観光を楽しみに、このインターを降りることと思います。

 本年度は除草作業と、アナベルとサルビアの手入れを十三回実施し、延べ六百余人の参加者に協力していただきました。この作業は、現場周辺の企業の方々にもボランティア協力していただいており、現地には五千株余りのアナベルが育成されています。そのため「アナベル街道」と称して、往来のドライバーの心を癒やしております。

 過日の手入れには、三年前の初の植栽日に参加した子供たちが久しぶりに来てくれました。記念すべきアナベルの植栽から三年が経過し、小学六年生だった子供たちは中学三年生に成長していました。自分たちで一本ずつ植栽したアナベルはすっかり根株が増え、美しく咲いていました。子供たちはアナベルの観賞を楽しみながら、周囲の除草作業を親子でしていました。その光景は、花を通してごく自然に親子のふれあいが芽生え、会話の内容まで聞こえてきそうなぬくもりが感じられました。

 三年前、アナベルの植栽と除草作業に参加した子供たちはその後、この沿線を通過するたびに、自分たちの手で植栽したアナベルの成長を愛情込めて見守っていたのだろうと思います。

 開花した純白のジュウタンのような美しい風景を眺めながら、花を育てる楽しさを体験した子供たちが、豊かな心で成長することを願っています。






(上毛新聞 2006年12月30日掲載)