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弁天通商店街青年会事務局長 山本 真彦さん(前橋市千代田町)

【略歴】新潟市出身。中学時代、前橋市に転居。国学院大経済学部卒。農家での研修、フリーターを経て、2005年11月、弁天通りにアートカフェを開店する。

中心市街地の活性化

◎増やそう個性ある商店

 前橋の中心商店街・弁天通りにカフェ&ギャラリー「Ya−man’s」を開店して約一年がたちました。思い返せばいろいろありましたが、その悲喜こもごもを経て、若者を中心としたネットワークが徐々にできつつあると感じています。二〇〇五年三月に元甘太郎焼き店舗を借り受けた当店舗は、多くの友人たちの協力のもと、その後約八カ月の地味で地道な改装を経て、一昨年十一月に開催された「アートNPOフォーラム」の会場として、アート支援カフェとして、開店しました。

 その後は自分の生業(なりわい)のカフェとして、また所属するNPOの活動拠点として、ギャラリーではおよそ二週間の期間で群馬にこだわって活動する作家の展覧会を継続的に開いてきました。また、所属するNPO環として現代美術作家の白川昌生さんが主宰する「場所、群馬」の活動支援をすべく、さまざまな勉強会やパフォーマンスアートイベントの誘致、前橋の歴史的な建造物である臨江閣での展覧会などを企画してきました。

 そして、次第に集まってきた若者店舗や友人たちを中心に弁天通青年会を立ち上げ、街の御用聞き・町衆として商店街活動に参加しながら、中心商店街を舞台としたキャンドルナイトや納涼祭、ワークショップなどさまざまなイベントを催してきました。また、弁天通りのホームページ作成のあっせんや、萩原朔太郎生誕百二十周年記念フリーペーパーの作製などを実施することで、(1)アーティストとともに街の魅力をつくる(2)閑古鳥も鳴かないと揶揄(やゆ)される、この通りに若者が集まれる環境をつくる―ことを目指してきたのです。

 私がこの居を見つけ居着いてから数年の間で、弁天通りに空き店舗はなくなりました。そんな中、前橋の中心市街地の衰退を嘆く話をよく耳にします。郊外型ショッピングセンターの乱立の影響もあるでしょう。確かに、指摘されているように駐車場や利便性の問題もあるでしょう。では、中心市街地はどうなったらいいのでしょうか? 完全に壊してつくり直せばいいのでしょうか? 例えば、大型集積店舗のようなものができればいいのでしょうか? 私はそういったものに、まったく面白みを感じません。

 ショッピングセンターは確かに便利ですし、大抵のものがそろいます。ですが、そこにはどこでもあるものがそろうだけで、そこならではの、そこにしかない個性というものが欠けていると思うのです。例えば、遠方からの友人に地元を紹介するときにショッピングセンターに連れていって、その友人は心からその土地を楽しめるのでしょうか? そういった点で、私は中心市街地には個性的で、そこにしかない個人商店が増えていけばいいなと感じています。

 現状の商店街にも、例えば、オリジナル傘を作ってもらえるなど知られざる(?)魅力がたくさんありますし、そこで培われてきた歴史もあります。外で嘆くばかりでなく、まずは実際に足を運んで遊んでみてもらえたらと思います。そのように思い、実際にこの地に住みながら活動しています。






(上毛新聞 2007年1月8日掲載)