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太田市教委学校指導課主事 根岸 親さん(埼玉県深谷市上柴町)

【略歴】福島市生まれ。大阪大大学院人間科学研究科修了。太田市教委の外国人児童生徒教育コーディネーター。ボランティア研修でブラジルに1年間留学した。

外国の子供たちと学ぶ

◎多様性の発揮へ向けて

 日本の外国人登録者数は二百万人を超え、結婚した夫婦の二十組に一組は国際結婚(夫、妻の一方、もしくは両方が外国人)となっている。群馬県においても、東毛地域を中心に南米出身の日系人をはじめとする多くの外国人が集住している。レストランやスーパー、ショッピングセンターなど日常生活の身近なところで、以前より確実に地域の国際化が感じられる。また、最近では滞在の長期化、定住化が進んでいる。永住権を取得し、ローンを組んでマイホームを購入する外国人住民も増えている。

 定住化傾向に伴い、公立校で学ぶ外国人児童生徒も年々増加している。太田市立小・中・養護学校には約四百二十人の外国人児童生徒が就学している。これは三年前に比べて、百五十人以上の増加となっている。外国人の子供たちは言語、文化、習慣の違う学校生活に慣れ、日本語を習得しなければならない。そして当然ながら国籍に関係なく、発達段階に合った基礎学力をつけることが子供たちの将来にとって必要となってくる。

 克服しなければならない課題は多い。異なった言語、文化、習慣の中で成長するということは、それだけ苦労が多いのだと思う。ただ、それらを克服できたとき、人並み以上の力をつけることにもなる。最近、少数派ではあるが、小・中学生のころに来日し、苦労しながら進学をした大学生、社会人となった外国人に会うようになってきた。彼らは自分自身のそれまでの苦労、葛かっとう藤を経て、複数の言語、文化を理解し、日本社会でたくましく成長していた。

 将来、日本の社会で共生し、自分の力を発揮できるようになる外国人の子供たちが増えれば、その多様性は社会にもきっとプラスとなる。ただし、そのためには当事者である外国人自身の努力と、ホスト社会である日本人の理解が必要であろう。

 市内の外国人が多く在籍する学校では異なる文化、言語を持つクラスメートが教室にいることは当たり前の光景となりつつある。子供のころから多様性に接し、その違いを自然なこととして受け入れることは日本人、外国人双方の子供にとって貴重な経験になると信じている。もちろん、お互いが理解していくにはそれぞれの多様性、個性を主張するだけでは成り立たない。共通認識となる規範意識や、お互いを尊重することが前提となった上での個性、多様性の発揮こそ重要であると考える。

 多くの課題があるなか、学校現場では日本人教員とともに市で採用した外国人の子供の母語の分かる日本語指導助手や、ブラジル等の教員免許を持つバイリンガル教員が連携して子供たちの指導に当たっている。試行錯誤の中で一つ一つ、取り組みを重ねている。まだまだ道半ばであるが、多様性のある豊かな共生社会へ向けての一助となれるよう、学校教育の面から支援していきたい。






(上毛新聞 2007年1月10日掲載)