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県体育協会クラブ育成アドバイザー 青木 元之(沼田市戸鹿野町)

【略歴】 日本体育大卒。水泳で国体に2度出場。県内小、中学校教諭、渋川金島中教頭、県体協・スポーツ振興事業団共通事務局次長を経て、2005年から現職。

総合型クラブ

◎生涯スポーツを推進

 スポーツ活動の裏舞台でクラブマネジャーが活躍しています。活躍の内容は、地域の活性化や住民の健康づくりを目指し、総合型地域スポーツクラブの運営とスポーツ活動の場を確保することです。今回は、このような活躍をするクラブマネジャーに視点を当ててみましょう。

 総合型クラブというと聞き慣れない名称のため、関心を持たれにくいのですが、地域住民にはとても優しいクラブです。例えば、体育館でバドミントンをやっているから一緒にやらせてもらおうと思っても、急には仲間に入れてもらえません。でも、このクラブは「どうぞどうそ、一緒にやりましょう」と、いつでも地域住民を受け入れてくれるのです。

 どうしてこのようなクラブがつくられるかというと、いつでも・どこでも・いつまでもスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会を実現させるため、文部科学省が中学校区規模の地域に総合型クラブをつくることを勧め、教育行政や体育協会が支援しているからです。群馬県では十三クラブが設立され、四クラブが設立に向けて準備を進めています。

 実をいうと、地域住民には優しいクラブですが、運営する人たちは大変です。地域のため、住民と一緒につくるというボランティア精神がないとつくれません。そんな中、うすねニュースポーツクラブの小野里順子さんと宮城スポーツクラブの梅澤光枝さんが女性クラブマネジャーとして活躍しています。

 体育指導委員経験者の二人は、平成十二年策定のスポーツ振興基本計画で総合型クラブの理念を知ったとき、「自分が描いていた地域づくりがここにある!」と、直感したそうです。宮城スポーツクラブの設立は今年ですが、うすねニュースポーツクラブのころは他に見本がありませんでした。総合型クラブ活動支援事業を沼田市が受託する時に打診された小野里さんは、地域の人に理解してもらえるかどうか不安だったようです。

 しかし、地区体協会長やクラブ仲間が賛同してくれたり、市の教育委員会が支援事業の窓口を引き受けてくれたので、クラブの立ち上げを決心したそうです。途中、挫折しそうになったこともあったらしいですが、「総合型クラブができれば、スポーツに携わる場所が拡大し、地域住民のコミュニケーションが図れ、地域活性化の一翼が担えると自分に言い聞かせました」と、小野里さんが当時のことを話してくれました。

 地域の理解が高まり、高齢者の生きがいづくり、子どもの健全育成などの場として認められ、平成十五年十二月に総合型クラブとして発足しました。今では新町スポーツクラブや粕川スポーツクラブとともに群馬県の先進クラブとして他のクラブの見本となっています。

 地域の協力を得て裏舞台を担う小野里さんや梅澤さん。二人がともに持つ情熱的なパワーは地域活性化の源となり、今後の地域の発展につながると期待しています。






(上毛新聞 2007年4月24日掲載)