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全国フィルム・コミッション連絡協議会専務理事 前澤 哲爾(東京都品川区)

【略歴】 館林市出身。慶応大卒。山梨県立大国際政策学部准教授。武蔵大客員教授。NPO一新塾理事。国際NGOシャプラニール評議員。地球環境映像祭審査委員長。

地域プロデューサー

◎実践通し人材を養成

 日本が抱える大問題の一つは、極度の中央集権国家であることだ。戦後日本が発展するためには好都合だったが、今ではその弊害の方が大きくなった。ほとんどの国の政策が後手に回り、かつ責任を取らない不思議な行政がまかり通っている。多くの人がうんざりしていると思う。

 その解決策として地域主権が叫ばれ、道州制論議も盛んになった。しかし、この急速な変化に地域が対応できているかといえば、多くの課題が残る。とりわけ人材不足は否めない。

 有能な首長や議員を選ぶことは非常に重要なことではあるが、彼らに負託しただけでうまくいくわけではない。各地域でそれぞれの領域に通じた「地域プロデューサー」が活動し、具体的に成果を見せ、実践的に提案をしていくことが求められている。

 私は二〇〇五年に開学した山梨県立大学の教員となった。それまで私は、東京をベースとして、ニューメディア、ハイビジョン、フィルムコミッションや地域活性化などについて、全国各地に出向き、講演やシンポジウムなどで意見を述べてきた。しかし、アドバイスはできても、実際にその地域の活動にはかかわれなかった。「コンサルタント」というのは聞こえがいいが、しょせん「言いっぱなし」なのだ。

 私は、自分の活動地域を持つために山梨県に行った。昨年、連続十回の「地域プロデューサー養成講座」を企画、実施した。ここでは、プロデューサーの要件として、企画力、ネットワーク力、けん引力、危機管理力を向上させること、人間的、挑戦的、持続的、多面的な資質を磨くことをカリキュラムに組み込んだ。

 この中から生まれた三つのプロジェクトが本年動き出す。その活動のバックアップも含めて、今年はこの三プロジェクト開催の各地域で「講座」を開く。地域の人々が自立的に計画を立て、実施していく。初めは小さな活動でも、多くの人々の支持を得ることで、広がっていくはずだ。そうした実践が人材を作る。

 群馬県にはそうした仕組みはあるのだろうか。もしなければ、東京の三田にあるNPO「一新塾」を推薦する。私はサラリーマン時代の一九九四年に、大前研一氏が創設したこの政策学校一期生となった。五年前に「塾」はNPOとして独立し、同時に理事となった。ここには、「政策提言」「社会起業」「市民プロジェクト」の三つのコースがあり、二十代から七十代までの世代を超えた塾生がいつも熱心に集い、切せっ磋さ琢たく磨ましている。ちなみに、前半の統一地方選挙では、県議・政令指定都市議員に立候補した八人が全員当選(うち五人トップ当選)した。

 この「塾」では、東国原英夫宮崎県知事、中田宏横浜市長ら三十人以上の講師との討議が組まれているが、それよりも具体的テーマについてのチーム活動が面白い。その中から今までに「選挙セール」「病児保育」「芸術家の薬箱」「旅館再生」など、ユニークな活動が実現した。

 私は、実践からしか人材は育たないと思っている。その方法で「地域プロデューサー」をこれからも養成していきたいと思う。






(上毛新聞 2007年5月6日掲載)