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ふれあい・いきいきサロン池田代表 宮田 秀穂(安中市大竹)

【略歴】 安中市職員(在職中、農業実習生としてブラジルへ派遣される)を経て県職員。退職後、県立特別養護老人ホーム高風園長などを歴任。長く日伯親善交流に努めている。

サロンのすすめ

◎元気な高齢化社会を

 お年寄りがシルバーカーや杖(つえ)に頼りながらも、なんとか自力で普段着のままで地元の集会所に気軽に集まる。みんなで考え、お互いに支え合い、助け合って明るく元気に過ごす―。そんな地域社会を築きたいと「ふれあい・いきいきサロン池田」を昨年四月に設立して、一年余りが過ぎた。

 サロンでは、脳の活性化や肩こり予防のための「基本体操」、楽しくおいしく食べるための「健口(けんこう)体操」、転倒や腰痛などを予防する「さわやか・のびのび体操」などを準備体操として初めに行っている。

 参加者は、利用者であると同時に協力者であって、誰もが運営主体として積極かつ意欲的に行動している。

 サロン当日、待ちかねていたかのように明るく元気に満ちあふれた顔が会場にそろうと、誰もが無上の喜びを感じ、やってよかったとしみじみ味わうひとときである。

 これは、サロンを通してすばらしい仲間ができ、お互いに思いやる心が生まれ、助け合う気持ちが自然と醸成されたこと、また、人の陰口は絶対言わない、愚痴や悩みはじっくり聞いてやるということがみんなの思いであったからと考えている。

 農村という地域性から自家生産の野菜類を材料とする漬物や煮物を持ち寄り賞味しているが、それぞれの家の伝統の味や独特の調理方法があって、食生活の改善や向上に大いに役立っている。

 食品の保存方法にも、お年寄りの知恵袋からの情報(例えば、サトイモは収穫時に皮むきしてビニール袋に小分けして冷凍保存する、など)が寄せられ、参考になっている。

 もちろん食品の安全に対する知識の普及も大切であり、年二回は、安中市健康課の保健師さんの健康管理指導と併せて研修する機会を設けて万全を期している。

 参加者から多数の声が寄せられた。「楽しい仲間の元気な顔を見られることがこのうえなくうれしかった」「これが縁で交流するようになり、一人閉じこもる生活から解放され、世間が広くなった」「企画から参加することで、みんなのために役立っていると実感できてうれしかった」「健康に留意するようになった」「毎回、参加者は十人ほどで、これが最高だと思う」

 サロン活動こそ、地域の人々の絆(きずな)を深め、これからの高齢化社会に明るく元気に生きる勇気と活力を与えてくれるものと確信している。

 安中市で昨年八月、十八サロンでスタートした市ふれあい・いきいきサロン推進連絡会は、今年五月の総会では三十三サロンに増えた。自治会、長寿会、民生委員、地域ボランティアなど幅広い方々の理解と賛同を得て、地域に根ざした「ふれあい・いきいきサロン」が県内くまなく設立されるよう願っている。






(上毛新聞 2007年6月24日掲載)