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体験民宿「寺子屋やひろ」代表 飯出 八紘(上野村乙父)

【略歴】 高崎商高中退。会社勤めの後、上野村に帰郷し、上野物産を創業。2001年の国民文化祭を機に設立の「おてんまの会」初代会長。04年に体験民泊を始めた。

自然の不思議

◎経験のないことが発生

 昨年、上野村は原因不明のネズミの異常繁殖に見舞われました。家の周りで異常繁殖したのだからたまったものではありません。

 このネズミは家ネズミとハムスターの中間ぐらいの大きさで、行動は野ネズミほど速くはありません。野ネズミと異なるところは食べ物を貯蔵することです。このネズミが異常繁殖をして収穫間近のジャガイモを攻撃したのだからたまりません。行儀よく一つ食べたら次のやつと食べれば良いのですが、一口食べては次のイモ、ほとんどのイモが傷になり、家によっては捨ててしまった家もあったそうです。

 ジャガイモを食べるだけでなく、今度は家の中まで入り込み、手当たり次第にいたずらをするのでたまったものではありません。各家庭ではいろいろ捕獲方法を考えますが、一番簡単なのがお店で売っている粘着剤の付いたネズミ捕りシートです。これを仕掛けると一晩に三、四匹、これでシートを取り換えてはもったいないので二、三日置いておくと十数匹ほど捕まえられます。ですからシートを買うのも半端でなく、一箱二箱と箱の単位で購入した家もあったようです。また、多い家では数百匹も捕まえたそうです。

 しかし、最近の話によると、そのネズミはハツカネズミだということが分かりました。ハツカネズミなら妊娠期間が二十日程度といわれ、考えられないことはないと思います。それにしてもものすごい繁殖力です。

 それが秋の風が聞こえるころよりネズミの話はなくなり、今年もジャガイモの収穫期を迎えましたが、ネズミの話は聞きません。

 十数年前になりますが、毛虫が異常発生したことがありました。この毛虫はカブトムシの幼虫と同じくらいで、上野村では白髪ダイユウと呼ばれ、昔はこの毛虫の腸を酢の中で引き伸ばすと、魚釣りに使用するテグスができるといわれましたが、経験はありません。

 成虫の名前は分かりませんが、この毛虫は大きなガになって夜になると街灯に集まり、それをカラスが翌朝食べに来ます。この時もなんの前触れもなく、毛虫が大量発生し、来年はどんなことになるかと心配していると、何事もなく過ぎました。

 話は変わりまして、一昨年の冬のことです。秋から春にかけて、雨と雪が少なく、その上異常な寒さによる地下水の水不足でしょうか、五月になってもケヤキの葉が出ず、枯れてしまったのかと思いました。それでも五月半ばから末にかけてやっと芽吹きました。しかし、そのまま芽吹くことのできないケヤキもありました。

 このように今まで経験のないことが最近はいろいろと起こっておりますが、やはり人間たちの自然破壊が原因でしょうか?

 例え小さなことでも私たちは後世の人たちのために自然を破壊するようなことはやめないといけないと思います。






(上毛新聞 2007年7月14日掲載)