視点 オピニオン21
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前橋るなぱあく園長 佐藤 恭一(前橋市城東町)

【略歴】 東京大教育学部卒。元県庁職員。2人の息子を育て、父と母の介護も自分でして見送った。得意は料理。趣味は酒。家族は妻と猫1匹。自慢はよき友達。

社会参加

◎地域の人と手を携えて

 六月十七日、るなぱあくで、『厩橋CHINDON倶楽部』と『TEAM・GOGO!2007』のコラボレーションが実現した。チンドンの北原雄一郎さんがにぎやかに地球環境の保護を訴え、「30秒で世界を変えちゃう新聞」が配られた。

 「実は、知り合いが、エコな号外を豪快に配ろう! という企画をしてます。園内で配布可能なら、仕事が休みの日に配りたいと思っています」。知人の吉田恵子さんからのメールだ。

 『TEAM・GOGO!2007』という環境保護運動が、全国で一斉に地球環境問題を考える号外を三千万部配るという。彼女は、前橋での配布役を気軽に引き受け、一万部の新聞を手にした。るなぱあくで配っても、彼女の手元には、まだ八千部以上の新聞が残っている。大変だなと案じたら、「何とかなるよ、最後は一軒一軒配って歩くさ」と吉田さんは底抜けに明るい。

 その翌日、前橋市日吉町二丁目に「こぐま舘」という高齢者介護施設をオープンさせた熊倉繁さんを訪ねた。彼は、今年の三月まで県で建築技術者をしていた。その退職金をつぎ込んでこの仕事を始めた。「こぐま舘」は「小規模多機能型居宅介護施設」という昨年四月に地域の介護力を高める切り札として新設された制度による施設。地域に密着して、訪問介護、通所介護、宿泊介護を一括して供給するのが特色だ。

 「やあ、始めてみると思ったより大変でね…」と言いながら、住み慣れたところで生きていきたいと思うお年寄りを支えていくことの大切さを熱心に話す。

 「何も分からないまま、始めてしまって…」と、一緒に働いている奥さんが隣で笑う。

 熊倉夫妻はまっすぐにお年寄りの暮らしを見つめて、地域の人たちと手を携えて支えていこうとしている。

 同じ日、るなぱあくの木馬の鞍(くら)を作った小野里健一さんが、NPO法人「はーとわーく」の山本知子さんを連れて現れた。

 「障害者の作業所ではお仕事が足らなくて困っています。ろうそくをたくさん灯ともすイベントができないかな、そこで使うろうそく作りを障害者のお仕事にできないかなと考えています。横浜では成立しているので、前橋でもぜひやりたい…」

 毎年、夏至と冬至の日に、「百万人のキャンドルナイト」が全国各地で開かれる。電気を消し、ろうそくを灯し、環境問題を考えるものだ。彼女は、こういうイベントと障害者の仕事づくりとをつなげようとしている。

 みんな、世の中の役に立とうとしている。何にも持たないに等しい人たちが、身一つで、今この国が直面している一番難しい問題に真っすぐ向き合っている。大資本の悪行や政治家と行政の不始末が横行する中で。

 ねえ、山本さんのろうそくの話に、一発乗ってみようって人はいないかな。一緒にろうそくを灯してみようよ。待ってるよ。






(上毛新聞 2007年7月19日掲載)