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大泉町社会福祉協議会会長 阿部 忠彦(大泉町丘山)

【略歴】 前橋工高卒。1960年、三洋電機に入社。同労働組合東京製作所代表などを務め、2001年、定年退職。現職のほか、大泉町18区長。

現状に合う体制整備を

◎外国人との共生

 大泉町十八区丘山地区は、県営住宅や雇用促進住宅、町営住宅などがあり、五百世帯のうち百六世帯が外国籍となっています。特に県営住宅、雇用促進住宅では、50%以上が外国籍の世帯になっています。

 十八区は以前から外国籍の人も全員が自治会に加入し、区費も払ってもらっています。そして、一年ごとに交代する区の役員・組長もやってもらっています。現在では四十八人の組長のうち、十四人が外国籍の人たちです。

 国も県も町も「共生」をPRし、諸々(もろもろ)の施策を行っていますが、それぞれの国の文化、生活習慣などの違いや、言葉の問題もあり、実際には「共生」がなかなか難しいのが現状です。

 中でも、地域で最も困っていることのひとつに、「ごみ出しルール」の問題があります。外国籍の人が多い雇用促進住宅や県営住宅のごみステーションでは、指定日以外にごみが出されたり、分別されないまま多く出されたりしています。もちろん、そのすべてが外国籍の人によるもの

 ではありませんが、地域で問題となっているのが現実です。

 そこで十八区では昨年十月に初めて、二人の副衛生環境保全推進委員のうち一人をブラジル出身の男性に引き受けてもらいました。

 共生問題は、単に苦情を言ったり、批判したりするだけでは解決しません。一歩踏み込んだ対応が、日本人にも外国籍の人たちにも必要だと思います。

 私は、「ごみ出しルール」さえきちんと確立されれば、共生をはばむ問題の八割は解消するものと思います。お互い生まれ育った文化は違っても、ここは日本です。日本のルールを守ってもらい、共生していけるよう、体制を整えることが大事です。

 そのためには現行の外国人に対する法律、条例、規則なども、実情に合ったものに早急に変えていくことが最も重要です。

 日本で生まれた外国籍の子供たちは、幼稚園、保育園、小学校、中学校、高校で日本語になじみ、日本人の友達を多く持ち、日本の文化・生活習慣の中で育っています。それこそ日本人の子供と「共生」して学習し、集団生活を楽しんでいるのです。

 やがて日本で所帯を持ち、子供も生まれるころになれば、言葉の問題も解消され、本当の意味で地域での「共生」が根づくものと思います。

 国、県、市町村はもっと現場に踏み込んで施策に取り組むことが必要です。日本人同様に、外国籍の人たちの高齢化対策や医療対策なども早急な改善が求められています。

 それらの対策が進むことによって、地域が日本人にも外国籍の人たちにも住みやすくなることを心から願っています。






(上毛新聞 2008年1月6日掲載)