視点 オピニオン21
 ■raijinトップ ■上毛新聞ニュース 
NPO法人キャリア倶楽部理事長 太田 和雄(太田市新井町)

【略歴】 早稲田大政経学部卒。野村証券を経て、情報システム会社などで人事労務を担当。その後、NPO法人を設立した。東洋大非常勤講師。県職業能力開発審議会委員。

ニート脱出

◎サポステ訪問が第一歩

 ニートは働かない、怠けている若者だ、という認識をお持ちではありませんか? ニートと呼ばれる若者たちの存在を聞き、「働きたいと思いつつも、働けないで立ち止まっている」という状況が理解できない方が多いのではないかと思います。

 立ち止まっていないで、若者専門の就労支援機関のジョブカフェ(県若者就職支援センター)やハローワークに行って仕事を紹介してもらい、さっさと働けばよいではないか、と思われる方が多いかもしれません。

 親は「子どもが働けない(働いていない)から苦しんでいて」、子どもは「自分が働かないことで親が苦しんでいるのを見て苦しんでいる」、これが若年無業者と呼ばれるニート状態の若者の家庭の実態です。そんな彼ら彼女たちですが、何も特別な若者たちではありません。みなさんの身の周りにいるふつうの若者たちで、八割近くは何らかの職業経験があるのです。

 私たちは、NPOとして二○○五年からニート状態の家族・本人たちの支援活動を始めておりましたが、昨年六月からは厚生労働省の委託事業として県が設置した「ぐんま若者サポートステーション(サポステ)」で本格的な支援活動をスタートさせました。サポステでは、個々の若者の状況を把握し、若者が自分自身について知り、働くためには何が必要で、将来に向けての生活をどのように設計していくかを一緒に考え、社会的・職業的自立に向けて動く意欲が向上するようなプログラムを実施しています。

 現在、ニートと呼ばれる若者たちは全国で約六十二万人、県内には七千人いると推計されています。不登校のまま義務教育を終えた若者や、進学した学校などを中退し、ひきこもった若者は、「社会とのつながりを失ってしまった感覚」を起こしています。また、一度社会(会社)に入った社会人経験者の場合、失敗、挫折体験などから「自信を失い」、「立ちすくんでしまい」、再スタートがなかなか切れないでいます。

 ニート状態から脱するためには、自分だけ、また家族だけの力ではなかなか解決に結びつかないのが現状で、どうしてもサポステのような第三者機関による支援が不可欠となっています。

 解決に向けての第一歩は、若者本人が自らの意志でサポステに立ち寄ってくれることです。そのことから、社会的な自立に向けた道が広かれます。

 そこで、ひとりでも多くの若者や家族にサポステの存在を知ってサポステに足を運んでもらえるよう、もし身近に悩んでいる若者や家族がいらしたら、一度「ぐんま若者サポートステーション」に連絡してみることをぜひともお勧めください。






(上毛新聞 2008年2月18日掲載)