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全国地域活動連絡協議会会長 中村 京子(大泉町仙石)

【略歴】 栃木県佐野市出身。1985年に児童館の母親クラブに入会。99年から県の地域活動連絡協議会会長。2007年4月から現職。

公園や遊具の安全

◎絶えず大人の目注ごう

 昨年来、食への不安をはじめ子どもの事故、青少年のネット被害など国民生活の安心・安全が大きく揺らいでいます。このような中、内閣府では、安心できる生活環境の実現を目指し「生活安心プロジェクト」を立ち上げ、「四つの国民運動」が実施されることとなって、その一つ「子どもの施設の安全点検」が行われました。

 私はこの運動の関連で去る三月、岸田文雄国民生活担当大臣と懇談する機会を頂きました。当日は立川市昭和記念公園で公園ボランティアや幼稚園児とともに大臣自ら公園の遊具点検をされ、その後、大臣と公園所長、保護者代表、私の四人での懇談となりました。安全への取り組みなどについて話し合う中、大臣は全国地域活動連絡協議会(全地協)の「遊び場・遊具一斉点検」に言及され、「管理者の点検は当然だが、利用者など周りの大人や関係者の目が絶えず注がれていることが事故防止につながる。多くの人に安心・安全の意識を持ってもらい、関心を高めることが大切」と話されました。

 全地協には五つの活動方針があり、その一つに「児童の事故防止活動」があります。二○○三年より全国の活動を一本化し、「遊び場・遊具一斉点検」を始めました。これは母親クラブ員やその子どもが利用する近隣の公園や児童館の遊具について、その使い方や危険性を会員が子どもに話しながら一緒に点検するものです。あくまでも利用者や子どもの目線での点検ですが、専門家が作成したマニュアルに基づき、項目ごとにチェックします。点検後は写真を添えて管理者に報告、利用者としての要望などもお願いします。

 こうした活動の結果、全国各地でチェック個所の修理や要望の実現など良い結果が生まれていますが、中には、危険性を指摘した遊具が撤去されるということもあり、このことは、今後の課題と考えています。各施設とも維持管理費が減少傾向の中での安全対策は難しい問題かと思いますが、即撤去ではなく、何かもっと良い方法を一緒に考えていきたいと思います。

 また、○六年からは「公園の防犯点検」も始めました。私たちは研修を通じ、公園は「安全で楽しい場所であるとともに死角になるものも多く、常に周囲の人の目が向けられることが大切である」ことを学びました。例えば、公園周辺の家のカーテンや雨戸を開けておくだけでも犯罪の抑止力になるそうです。これは通学路に面した家にも当てはまり、誰でもできる子どもの安全への取り組みです。

 子どもの成長にとって公園や遊具遊びの体験はとても大切です。そのような公園を安全なものにするためにも、私たちは行政と話し合い協力しながら、子どもが安心して楽しく遊べる環境づくりをしていきたいと思います。






(上毛新聞 2008年5月1日掲載)