視点 オピニオン21
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群馬ダイヤモンドペガサス副代表 堀口 芳明(高崎市飯玉町)

【略歴】 中央大法学部卒。都内の広告代理店勤務を経て株式会社堀口社長、ラジオ高崎取締役、群馬スポーツマネジメント取締役。高崎女高PTA会長。

ボランティア

◎選手の頑張り支える

 球団のフロントの立場として、試合の結果に一喜一憂するのは当然だが、同時に、一シーズン三十六試合ものホームゲームの主催者として、それぞれの試合が無事に開催されることが、まずもって最大の関心事である。

 予定されたスケジュール通りに試合が運営され、お客さんに安全に楽しく観戦していただけるよう設営をするのが、われわれの役割なのだが、潤沢な資金と組織力を背景に痒(かゆ)いところに手が届くようなサービスを展開するNPB(日本プロ野球組織)のような真似(まね)はできるはずもない。

 そんなわれわれを見かねて、と言うわけでもないのだろうが、実にたくさんのボランティアの方々にお世話になっている。

 球場に足を運んでくださった方には、すでにすっかりお馴染(なじ)みだと思うが、紫色のビブス(上着の上に着るベストのようなもの)を身につけている人たちだ。

 試合開始の四時間前には球場に集合。スタンドの内外にのぼり旗を取り付けたり、外野席にスポンサー幕を張ったり、スタンドにごみ箱を設置したりと、お客さんを迎える段取りをすべてこなしてもらっている。また、入退場口では、直接お客さんと接する大切な役目を担ってもらってもいるし、試合中や試合終了後も休むことなく動いている。だから、ほとんどのスタッフは試合を十分に観戦できない。

 彼らは、野球が好きなはずだ。野球が大好きだから、ボランティアスタッフとして参加しているに違いない。そんな彼らが、皮肉にも試合を十分に堪能することなく、ただただ選手たちがグラウンドでその力を存分に発揮できるように、そしてそんな選手たちのプレーを楽しみに来場するお客さんのために、動いているのだ。

 彼らのほかにも、試合前に元気なパフォーマンスを見せてくれる「襲雷舞踊団」の面々や、「ウグイス嬢」のみなさん、そして、スタンドのファウルボール・ホイッスル係やボールボーイの少年たちなどはすべて、ボランティアの皆さんだ。その数は一試合に、なんと平均七十―八十人にも及ぶ。

 幸い、わが群馬ダイヤモンドペガサスは、新規参入球団であるにもかかわらず、新潟アルビレックスBCと上信越地区の首位を争うほどの戦績を挙げている。

 監督・コーチをはじめ、選手たちの頑張りが好成績の最大要因であることはもちろんであるが、スタンドから送られるたくさんの声援と、お客さんと選手のために力を貸してくださるボランティアスタッフの皆さんの、目立たないけれど大きな力を、選手たちは知っている。






(上毛新聞 2008年7月10日掲載)